第31話

※ これは、好感度が反転する前のリリアとロアの話。


「ロア君、今日は何の日かわかるかな?」

「今日ですか?それは、聖クリスタの誕生日ですよね?」

「そうだね。聖クリスタの生誕祭。聖クリスタの誕生を祝う日。この日にみんなは、特に恋人同士はどうしていると思う?」

「それは.......仲を深め合っていると思うよ、リリアお姉ちゃん」

「そう、仲を深め合う。.......つまり、ロア君のお姉ちゃんである私と、ロア君が仲を深め合う日ってことだよね?」


 今日は聖クリスタの生誕祭の日。


 今日この日を祝うように、外は雪が降っている。


 そんな日の事。


 今日は、アリアやミア、そしてリリアお姉ちゃん、エリー、クロエと一緒に過ごすんだろうなと予想していたし、実際リリアお姉ちゃんの家でパーティを開く予定にはなっていたし、先ほどまでみんな一緒にいて賑わっていたはずだったのだが、アリア、ミア、エリー、そしてクロエは何故か急に眠くなったと言って倒れるように眠ってしまい、残ったのは、リリアお姉ちゃんと僕だけだった。


 おかしいな、みんなお酒でも飲んでしまったのだろうか?


 こういう日だから偶には、羽目を外してもいいと思うけれど。


 それよりも、今はリリアお姉ちゃんに集中しないと。なんか、目が真っ黒なような気がするし。


 みんな、たまに目が真っ黒になって深淵を覗いているような、そんな気分になることがある。


「そ、それはそうだし、リリアお姉ちゃんとも仲良くしたいよ」

「そうだよね!ロア君は私と仲良くしたいもんね!だって私はロア君のお姉ちゃんだし、ロア君の事を一番に思ってるもん」


 そう言って、リリアお姉ちゃんはジィっと、僕の目を見てより一層僕との距離を詰めた。


「じゃあ、ロア君は私ともっと仲良くしよっか」

「え?」


 そう言って、僕の手を掴んで何処かへと連れて行こうとするリリアお姉ちゃん。


「ど、どこに行くの?」

「決まってるよ?私のお部屋だよ。大丈夫。痛いことなんてしないから。ただ、中を深めるだけだよ?」


 より僕の手をギュッと掴んで離そうとしない。


 何か不味い予感がして、その場に立ち止まろうとするもリリアお姉ちゃんが引く力が強くどんどんとみんながいる部屋から遠ざかろうとしていた。


「.......間に合った。もう大丈夫だからね、ロア。私が守る」


 その時、先ほどまで寝ていたエリーが立ち上がった。


「リリア、あなたが思うようにはさせない」

「.......おかしいな、もうちょっと寝ていてもらうつもりだったのに」

「舐めないで。これでも私は、魔法の天才って呼ばれているから」


 向き合った両者からバチバチと視線の火花が出ている気がする。


 じっとお互いを見つめ、数秒後。


「ねぇ、一つ提案をしようと思うの」

「....なに?」

「癪だけれど、エリーも一緒にロア君と仲良くしない?ここで争っていてもあんまり有意義じゃないと思うの」


 そうリリアが提案する。


 リリアお姉ちゃんと、エリーと仲良くする?


 確かに二人より三人で仲良くした方が楽しいしね。


「....仕方ない、その提案に乗る」

「よかった、話の分かる子で」


 だけれど、何故だろう。


 三人で仲良くしたいのに、何故か少しだけよくない予感がしてくる。で、でも大丈夫。三人で、楽しく遊ぶだけだからね。リリアお姉ちゃんも、エリーも優しいから。


 多分大丈夫なはず。


 そうして、今度こそリリアお姉ちゃんの部屋に連れていかれるかと思ったその時、


「.......二人とも何してるんですか?ロア様が困っていますよ」

「ロア、今すぐその二人から離れた方がいい」

「私も二人に賛成だよ」


 アリア、ミア、クロエが立ち上がった。


 そこからは、何故か僕と仲良くするという僕の取り合いが始まってしまった。


 まぁ、結果的にみんな仲良さそうだしこれでいいよね。




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一年前に投稿するはずだったかにくいサンタからのクリスマスプレゼントです。遅くなりすぎました。


今でも、この小説を見てくれようと思ってくれたことに感謝です。


 

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好感度が反転したヤンデレたちの記憶が戻ったら かにくい @kanikui

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