第30話

 私とロアの関係と言えば、ロア側から見れば私はただの友人、それか親友なんて思ってくれているだろうが、私から見れば大好きな異性だった。


 まぁ、仕方のない事なんだけれど。だって、ロアは私の事を男として認識しているから。私が男としてロアに接してきたから。


 私の家は八大貴族と言われるほど、実力のある由緒正しい貴族なわけだけれど、私たちの家には、呪いが掛けられている。それは、。それを外部にバレてはいけないというもの。


 何を馬鹿馬鹿しいなんて思う人間もいるだろうが、この呪いは本物であり、もしそうしなければ家は突如として衰退していく。


 何故そんなことが分かっているのかと言えば、馬鹿馬鹿しいと呪いを軽んじて女の子を女の子として育てた結果、そうなったから。徐々に衰退していき、爵位を剥奪されるところまで行きかけたのだから。そのためこの家はその呪いには敏感なのだ。


 そんな家に、私は女として生まれてしまった。男であれば、何事もなくただ育てるだけで良かったはずなのに。


 でも、幸いだったのがお母様もその痛みを分かってくれていることだった。お母様もこの家に生まれて、男として育て上げられたから。


 お母様は素晴らしい人間である。お父様の事を一身に愛して、お父様の事だけを考えて生きている。行動原理のすべてがお父様の為と言っても過言ではないような人間だ。


 私はお父様とはあまりお喋りしたことなんてない。お父様はお母様の愛で染まりきっているから。お母様だけのことしか見れなくなっているから。娘である私ですら、意識の外にあるのではないだろうか?


 お父様とお母様の相思相愛ぶりを見ていた私も、将来あぁなりたいと考えていた。お母様の地を引き継いでいるのだから当然と言えば当然なのだけれど。代々この家系の人間は、みんなそうだったみたいだ。一人の人間を愛し尽くす。一人の人間だけにすべてを捧げて他のすべてをなげ捨てる。


 この家が繫栄してきたのは、ただ愛している人と穏やかに何不自由なく暮らすという目的だけでここまで成り上がった。


 だから、私たちの家はお母様が言ったように愛に狂える家系なのだ。


「アリアさん、ロアがどこにいるのか本当に知らないのか?」

「……はい、残念ながら。死力を尽くして探していますが、ロア様の事は見つけられておりません。きっと、私たちのことをあんな風にした犯人が連れ去ったに違いありませんから。だから、見つけ次第、この手でつぶそうと考えています」


 目の前にいる聖女と呼ばれるこの女は、そう言って悲しそうな顔をしているが胸の内では何を考えているのか分かったものではない。


「……それじゃあ、そのロアを探しているあなた達のお手伝いをしてもいい?」

「……はい?」

「だから、あなた達もロアを探しているんだろう?だから、その手伝いをした方がより早くロアを見つけることができると思うけれど」


 そういうと、アリアは考えるようなそぶりをする。


「……どうしてあなたはそこまでロア様のことを?」

「決まっている。ロアは私の親友だからだ。それに、ロアにあんなことがあった。もしかしたら、今もあなた達がしたように攫った犯人がロアに対して酷い事をしていると考えない方がどうかしてる」


 私がそういうと、彼女はそう言ってふむと頷いて


「いいでしょう。お互い協力していきましょうか」


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 こんにちわ、かにくいです。


 突然ですが、アリア、エリー、ミア、リリアの四人のうちで誰が好きですか?特にこの質問は本編には関係ありませんが、クリスマスにかにくいサンタから短編がプレゼントされるかもしれないのでコメントで送ってくれると助かります。


 それと「彼女さえも裏切って来たので、女性不振になりました」を出します。過去に消した作品のリメイクです。この作品ともどもこれからもよろしくお願いします


 


 

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好感度が反転したヤンデレたちの記憶が戻ったら かにくい @kanikui

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