第29話
久しぶりに外に出ることができると思ったが、その条件として出されたのが目隠しだった。
エリーが部屋から出て行って、ミア、アリア、リリアを呼んで来て、彼女たちが相談した結果...........
「ちゃんと手を握っててね?転んじゃうから」
「ッ。わ、分かってるよ。お姉ちゃんに任せてねぇ。絶対に転ばせたりケガさせたりさせないから」
「大丈夫ですよぉ、ロア様。私がロア様を怪我させるわけないじゃないですかぁ。大丈夫です。私にまかせてくださぁい」
耳元で囁いてくる二人にぞくりと背筋が凍る。やはり彼女たちのスキンシップには未だ慣れず、まだ体をびくりとさせてしまう。
何故こんなに彼女たちが恐ろしいと感じるのだろうかという疑問もあるが、今は外に出られることを素直に喜ぼう。
リリアお姉ちゃんとアリアに手を引かれて赤子のようにゆっくりと歩を進めていく。
何も見えず、不安な気持ちもあるが彼女たちを信用するしかないので祈る気持ちで彼女たちの手をギュッと握る。
すると彼女達もぎゅっと握り返してくれた.......が、無意識に暴力を振られるんじゃないかと思ったのだ。ビクビクと震えそうになる心を抑え込み、数分でやっと視界が戻ったので安心してその場にぺたりとへたり込んでしまった。
「だ、大丈夫?ロア君。立てるかな?」
「大丈夫、ロア。私がついてるからね」
そう言って彼女たちが手を伸ばしてくるので、そっと掴んでゆっくりと立ち上がる。
改めて周りを見渡すと、そこは広い客間のような場所で、本棚や多少の遊戯が置いてあった。どうやらぼくが軟禁されている場所はかなり広いようだ。
きっとアリアが孤児を育てるために貰い受けた廃墟などを作り直したか、リリアお姉ちゃんの家が所有している土地に家を立ち上げたか。
ミアは魔法が得意とはいえ、僕と同じ平民であるためそこまでの財力も権力もないからありえないし、エリーは.......エリーも可能性としては、研究室として国から与えられたと考えられなくもないけれど、面倒くさがり屋だから、こんな大きな屋敷を貰い受けないような気がする。
「ロア君。今はこの部屋だけしか出してあげられないけれど、もう少し経ったら、もっと広いところに行くことができるようになるから待っててね」
「ごめんなさい、ロア様。窮屈な思いをさせてしまって」
アリアとリリアが頭を下げる。
彼女たちはただ必死で僕の心配をしてくれているだけということは理解できているから、ここでごねても何も起こらないことは分かりきっているし、彼女たちの心配を無駄にはしたくないから素直に頷くことしかできない。
それにしても、僕はいつまでここに軟禁されることになるのだろうか。
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