第28話
今日も今日とて、僕は外に出ること、部屋を出ることすら許可されていない。
「リリアお姉ちゃん。もう僕の体もだいぶ良くなったし外に出てもいいんじゃないかな?」
「ロア君。ダメだよ、お外は危険なんだから。ロア君を害した魔獣もいるかもしれないからね」
「それなら、せめて部屋から出させてくれないかな?」
「それは.......もうちょっとロア君の体調がよくなってからね」
そうリリアお姉ちゃんは言うけれど、納得がいかない。流石に何週間もここにいるのは飽きてきたし、身体が訛る。必要があれば、彼女たちが買い与えてはくれるけれど、それも申し訳ないし、これ以上彼女たちに負担を掛けたくはないと思っている。
...........それに、未だに彼女たちの事が何故か怖いのだ。彼女たちが触れようとすると無意識化のうちに避けようとする傾向にある。最初に起きた時よりはだいぶマシになったものの今でもたまに彼女達からのボディタッチに忌避感を覚えてしまうのだ。
本当に何故だろうか。何も記憶がないのだ。彼女達とはこれまでもずっと仲良くしてきたしこれから先もそれが続くと僕は思ってきたけれど、どうして?
その言いようのない不快感が心の中でずっと渦巻いている。
だから、
「お願い、リリアお姉ちゃん。少しでもいいから部屋から出させてくれないかな?ここから外へは出ないって誓うから」
「ロア君...........」
「お願い」
「分かった。でも、ちょっと待っててね」
そう言ってリリアお姉ちゃんが部屋を出てから数分後、ミアやアリア、そしてエリーが部屋に来てお願いをしたところでやっと部屋の外へと出ることができた。
*********
「クロエ、あなたしくじりましたね」
「はい、お母様。申し訳ありません」
「はぁ...........まぁ今回は仕方がないと言えるものです。あの小娘達が相手ですからね。私でも少々骨が折れるでしょう」
クロエの屋敷。
その部屋にはクロエ、その母親であるロウリィ、そしてロウリィの事を廃人のような虚ろな目で抱きしめているクロエの父親の姿があった。
父親はただ口を開けて餌を待つひな鳥のようにロウリィへと抱き着いてキスをねだっていた。
クロエの母親もそれを受け入れてこの世の何よりも愛おしいそうに顔を幸せいっぱいにしてキスをし返す。
クロエはそれを何の疑問も抱かず、ただそれを見ていた。
異常だった。おかしくないところを探す方が難しかった。
「それで、ロア君を取り返す算段は付いているのかしら?」
「いえ、それはまだですが...........絶対に奪い返して見せると誓います」
「それでこそ私の娘です。...........最悪、この家の...........スタンフィールド家の事情を盾にあなた愛しのロア君を説得することも許可します」
「いいのですか?」
「えぇ。何せこの家は.......私たちは愛に狂える家系なのですから」
「はい、お母様」
クロエはその部屋を後にした。
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キモデブブサイクが三人の美少女を攻略するRTAを出しました。この作品ともどもこれからもよろしくお願いします。
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