価値観のすり合わせ
「そこまで
「
「なんでその姿を選んだんだ?」
「死神君の好きな子だと思ったのと、この子は現実には居ない存在だから」
「流石に存在する人の姿をパクらない倫理はあったんだ」
「地上で会っちゃってドッペルゲンガーかと思われて【鑑定】されたら大変じゃん」
「そこら辺は考えてたんだな」
「なんで死神くんの好きな姿とキャラにしたのに好きになってくれなかったの?」
「そもそもその考えがおかしいんだよ。人間は姿形だけで相手を好きになることもあるけどオレはそうじゃない。むしろダンジョンが嫌いなんだからどんな姿をしていても、お前がダンジョンである限り簡単に好意を持つことなんてありえない」
「人間、難しいよ〜」
「お前はその姿で何が出来るんだ?」
「ステータス通り、スライムにも負けるよ!だから戦闘は出来ない」
「あの姿を消すスキルみたいなのは?」
「あれは寧ろ姿を消してるんじゃなくてこの身体の維持を解いてるんだよねぇ。この身体本当に燃費悪いから」
「なんでわざわざそんな姿になったんだよ」
「死神君に好かれたかったの!」
「名前付ける前まではそこまで殺意無かったのになんで突然怒ったの?」
「名付けのとき、オレを誘導しただろ?あの時オレはお前のステータス見て油断も慢心もあった。なのにまんまと誘導されて危険度を上げた馬鹿野郎だって思ったから半分くらいは間抜けな自分への怒りもあった」
「死神君、最近結構油断するよね。スキル詳細知って余裕が出来たのと、旧東京1番ダンジョン殺してもう敵が居ないだろーって調子に乗ってるんじゃない?」
「めちゃめちゃ耳が痛いからやめてくれ……さっきのも含めて反省してるんだコレでも」
「なんでパーティ扱いなんだ?」
「だってパーティっていいじゃん!仲間ってやつなんでしょう?ダンジョンはいつも人間を捕食している絶対強者だと思い込んでいたのに、雑魚が徒党を組んだら強くなるんだよ?凄いよ。だからあたしもパーティ組んでみたかったし、ずっとぼっちだった死神くんにも体験させてあげようと思って」
「……余計なお世話だ」
「なんで外に行かせてくれなかったの?」
「お前、自分がどこに生えてるのか分かっててい言ってるか?外に出たらまず直ぐ側に自分の家があって、家族もいるのに危険なモンスターを連れ出そうなんて思うはずないだろ」
「ひどーい!こんなに可愛いのに」
「はいはい見た目だけ見た目だけ」
「ふーん……そういう事言うんだ……【メスガキワカラセッ「ごめんなさいオレが悪かったです頼むから言葉にしないでください」ふふん」
「ちなみにオレの家の横に生えてきた時言ってたけどオレの家族ってそんな違うのか?」
「うん!特に凄いのは死神君だけど、死神君のお兄さんも美味しかったなぁ。でも奨学金返済したら即座にロボだ!ロボを作るぞ!!!って探索者辞めちゃったのがなぁ……」
「兄貴……」
「死神君、探索者向いてるし辞めないほうがいいよ」
「転移した直後も言ってたなそれ」
「うん。なんかこう、数奇な運命?みたいなのに愛されてるって絶対」
「お前の存在とかな……」
「そもそもなんであんなに外に出たがったんだよ。お前ダンジョンだろ」
「だって、外って面白そうじゃん。ダンジョンって結局入口を地表に出しただけで実際に地上には居ないから外のことは人間の知識でしか知らないから。ダンジョンが生むモンスターは所詮コピペだし、個体差とか無いんだよ。だからこそ人間や動物の個体差も面白い。あと太陽とかなーんか惹かれるんだよねぇ」
「蛾とか植物みたいだな」
「蛾は酷くなぁい!?こんな可憐な美少女、せめてひまわりとかそういうもっとロマンチックな例えをしてよ!」
「死神君の地上のおすすめスポットとかあるの?」
「地上か……あちこち行ってるけど基本的に塩漬け依頼ばっかで案外観光してないな……」
「それでも青春の象徴の冒険者学校に通ってる生徒なの〜?」
「はいライン超え」
「お前らはどれくらい人間のことを知ってるんだ?」
「とりあえずあたしに限れば死神君関連のスレはだいたい見てるし配信も見てたよ」
「
「人間の娯楽のジャンルで言うならサイコホラー?」
「ダンジョンの倫理観やば……」
「あたしほどじゃないけどある程度の意思があるダンジョンも居るから配信見てる子もいるよ。特に人気な配信はやっぱ最強さんだな〜」
「最強さんダンジョンにも人気なのか……」
「普通のダンチューバーってダンジョンアタック配信ばっかりだけど、最強さんは地上での生活も全部配信してくれてるじゃん?」
「まさかの需要」
「めっちゃハマってリスナーになっちゃってる子結構いる」
「これからあの配信見る時色眼鏡で見ちゃいそうだ……」
「生まれた時は四本足、次は二本足、最後が三本足の生き物はなんだ」
「ティノランゲロドリガス」
「何それ」
「火山地帯に生息する虫。サラマンダーに植え付けられた卵が炎熱耐性のあるサラマンダーを乗っ取る形で孵化して四本足、自力で炎熱耐性を得た成虫になるとサラマンダーの身体から出て二足歩行するようになって、繁殖期は長く伸びた卵管が地面を擦るほどに伸びるから三本足になる生き物」
「化け物じゃん……怖」
「日本のダンジョンにも居るよ」
「絶対に行きたくない」
「好きな食べ物はー?」
「ダンジョン産じゃないリンゴ」
「うわっ、ちょー贅沢」
「ダンジョン産の同じ味のリンゴばっかりだった頃に食べてびっくりしたんだって」
「まぁ、個体差ってやつは再現できないからねぇ」
………………………
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