配信開始
「配信タイトル通りに、
よほどのもの好き以外誰も居ないダンジョンのため完全に独り言状態だが仕方ない。
何も言わないでも良いが、ダンチューブで配信されている動画はモンスターに接敵しない限りただの一人称視点のお散歩になってしまう。
ジョブが変わるほどの偉業を周知されるには、まず視聴者を増やさなくてはならない。
その為には他人の興味を引くような配信をしないとならないが、オレは個人情報を開示したくないし、クラスのカースト上位のキラキラ青春グループのように何かしらのウェイポイントなどない。
持ってるのは変なジョブと変なスキルだけだが、もしも身バレした時のことを考えるとこれは開示できない。
なのでオレがバズる手段に選んだのが
今回入ったダンジョン、楽想市14番ダンジョンはつい最近市役所の横に生えてきたダンジョンだ。
C級ダンジョンということでそのまま維持するか否か意見が割れたが、ダンジョンが純粋に邪魔派の意見が勝った為、この度
普段からほぼボランティアみたいな依頼も引き受けているせいでこういったちょっと面倒な依頼も来る。
「えー、この度のダンジョンアタックは楽想市から指名依頼が入って行っています。
思念入力で固定コメントにも書いておいた。
違法な
「
おっとゴブリン部隊。
この程度では話題にもならないと思うのでしかかった説明を止めることなく処理に入る。
「通常、ダンジョンが完全に消失する
怨嗟煉󠄁獄刃一振りでおしまい。
外傷は無いゴブリン達が身体中を掻きむしるようにして絶命する。
ドロップはクズ魔石が一つインベントリに入った事を確認。やっぱしょっぱいダンジョンだここは。
生命探知で近くに他のモンスターが湧いていない事を確認すると、そのまままた階段に向かって進んでいく。
「このダンジョンは生えてきた場所が市役所の真横であること、またダンジョンの内容がC級レベルの難易度であるに関わらず、ドロップは先程のようなゴブリン部隊ですらクズ魔石一つという不味さからこの度
ちらりと確認した視聴者の数は6人。
完全に飽和しているダンチューバーの中で全くの無名配信者が初めて集めた人数にしては上等な部類だろう。
といってもそう何度も
「さて続いての敵もゴブリン部隊ですね。魔術師1、弓士1、盾職1、剣士2のスタンダードパーティスタイルです。もしもソロの時に接敵した場合、倒せてもタイムパフォーマンスが悪いので逃げるのを推奨します。但し、
モンスターにかけるコストとドロップにかけるコストのバランスを失敗したダンジョンの末路は概ね駆除である。
悲しいけど、もっと人間に媚びるのが上手いダンジョンが沢山あるので……仕方ない。
「
視聴者のコメントでしょっぺえダンジョン、とのコメントが出た。
本当にその通り。
しかもガーディアン戦は本当に全てのリソースを使って来るせいで倒しても何のドロップもない。
千里の道も一歩からとはいえ、普段からほぼボランティアみたいな依頼を受けまくっているオレ以外誰も受けそうにない。
市役所からの依頼ということでボーナスは出ないし、A級探索者への指名料のみが本日の利益に確定している。
こんな依頼をパーティ単位で受けたら備品の消費で逆に赤字になるだろう。
「最初に言ってしまいますが、今回の目玉はガーディアン戦ですが、それまでくっそ退屈なザコ狩りを延々と垂れ流すことになります。なので、お暇な皆様の為に……ダンジョン奨学金返済ノウハウ講座をします」
オレの経験から学んだダンジョン奨学金返済講座は思ったよりもウケが良かった。
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