声声声声

五本誠

第1話

第1話

まだ まだ 甲子園球児は 夏のあおぞらに 勢いよく声を 張りたてます その中で 身なりを女性に変えたひとりの劇作家がいました 夏 お互い譲らずの攻防 水平線上から 雲たちも まるで彼らを鼓舞するかの様に みぎ ひだりに泳いでいます まるで彼らは 天から舞い降りた天使かの様に見えました 美しい 明るい勝利の笑顔 巷はまるで炭酸がいきおいよくとぶ まるで炭酸水かのような 勢いある歓声で 包まれていました その 速度は毎Q 0859263ペクトパスカルで 進行していきます ありふれた どこにでもいそうな少年たちのここでしか観られない活躍 たぶん それは 誰にでもあった様な 39度 の青春としてあるのではなかったでしょうか

第2話

わたしは誰 ジヒは思います ジヒ・・何かに取りつかれた様に 彼らは言うでしょう ほんの少し あともうすこしなぜ報われないのだろう・・どこまでも真っ暗な朝 夜はすがたを 朝に変えわたしたちをダマしました 成す気の うばう蝉たちのこえ 放棄されたベンチ 誰も来るはずのない学校の二時限を知らせるチャイム 街を往く ジヒ ジヒ 世界は私たちをかるく嘲笑い何故かまたとないチャンスをアテました 苦しくない 広々と広がるオゴソかな しぜんのファクターそれは誰からも救われなかった 日本というケッペキなジヒたちへ向けた明るい日本への招待でした

第3話

もう無理なんて言わないでください もう此処まで来たのだから1983年日本軍は大量の破壊兵器を我が身に浴びました 日時が 雛鳥のように コクリ コクリ うなずく 傍らでは 夜が私たちを欲しがる様に待っています 言わなきゃいい 言わなきゃ まるで 孤独におびえた赤子に似ています いつか 変わる 鞄に入るサイズのノートはいつしか おんなになりました クリスマスイブ には小さいモンブランをていねいに飲み込み 10代のオスに後尾を許し 気の遠くなるまで星座図鑑を読み 何かのまねをする それらは 銀河の中で 男女のなにかが 優しく憶えるように機能する そうやって人生って言うものはまるで自転車をこぐ少年の様に 夏をさまよい また一人少女に恋をしたりします タイヨウには オトコ ツキには 女に愛をもたらすパワーがあります

第4話

かの惑星で私たちは思います なぜ私たちは生きるのでしょうか まだまだ甘く 酸味にほがらなされた青年たちは思います 苦しみから逃がれることもできず甘ぬるいコーラで気を癒している 空腹は世界に殺意を産みそれは気が狂ったかのように私たちを反対に飲み込みます なぜしなきゃいけないか分らないテストに応えるはずの無い公園 そこかしこにある マンボーイ そこにはあるはずの無い古石代の生物たちの足音 見たくもない殺人事件の犯人の顔 夏にヤけた信号のフラッシュ わかった 少女はカラフルな夜を待つ雛達かのように枝にそこに止まっています それらは私たちに もうよい もうよい そう 去っていく 喜劇かのように映るのです

第5話

私は常々考えます ジヒとはなんなのか とケッペキなジヒたちを相手に ことば は まるで 意味をなしません

あなたは生きているのでしょうか 明日には生きていないかもしれません なにをこばんでいるのでしょうか ジヒは考えます 忘れもしない1958年の冬 あれは富士のすそ野でのことでした 誕生日を明後日にひかえた 若かりし少年は想います 映りもしないテレビ 気味の悪い犯罪者の笑み 落ち葉から顔を覗けている 死にかけた蝉 一列にじょうずに歩くアリたち カタチだけのあそび 紙ペーパーがつぎつぎとなくなるように それはまるでありふれたイヒ学の証明法であってし

空は若若しい少女達にもっともらしい返答をしました その少年はキケンだ 少年は思います なぜ女とつきあってる これは罪にならないのか そう なぜ罪にならないのか 教科書にはこう書いてある 無断転載禁止 その文字はピカソを越えていた

第6話

許せざる日わたしたちは1925年に大量虐殺を目の当たりにしましたそれにしても 一体戦争っていうのはどうなっているんだろう 争い また新しいルールが生まれそれから幾年が経って 民衆にも安心がある社会生活が送れるようになりました ただ私たちはまだ喜べません 手離しで喜べるような 状況じゃないからです ある安マンションに 一人 おとなの女が蟻の住む様に暮らしていました 毎日毎日 オトコを探してはついばんでいました 新聞とストローを片手に女性は思います 私たちは 戦争なんて 哀れで下らなくてバカらしいマネはしない いま 生きている 生命としての生きる理由がある そして悔しさも貧しさも愛せたなら いつか宇宙がにっこりと ほほえんでくれるんじゃない?そうであれば・・私にも羽が生えるかな 女性はテレビのチャンネルを素早く切りかえた 名前はジョン テレビジョンと云った

第7話

ありがとうだなんて言えない

だいいち問題だし してはいけないし 必要ないし 探るなんて出来やしないし 選ぶなんて もってのほかだ かの 惑星でジヒ達は思います 捨てられたヘリ 困るように 配置された 食器 映る気配もしないテレビ何に使えばいいか 分からない色鉛筆 子供用に重ねられて放置された絵本 刻は恋人達のナカを より深めました 真っ暗 まだまだ生きていたい そうゆう日が何日も続いた 私たちは 死なんて知りたくないなぜかという答えなんて 有りはしないのだが 結局のところ それは ありえない

第8話

きっと大丈夫 まだ思春期なんだから そうゆうことはままあるの お姉さんは言います 二人が もっと愛し愛されれば そんなことを なぜかバビロンのままに うつらうつら書いた なぜか涙を流しながら 気の遠くなるままに それからの ことは誰も知らないけれど たぶん 知らない 誰かも 分からないし 知らないし 知ってもいけない

第9話

私たちはなぜ生きるのでしょうか 日々考えます それはアイスクリームが溶ろけたあと 地に吸われるかのごとく ああ 今許せば・・・・?そんなことを後になって後悔し でも小さいながらも 働く 先生は答えます 有名じゃない だけど 良いじゃない 財布を投げてみても 何も変わらない なにを書いたかわからない机のラキガキ いつまでも愛する どこまでもどこまでも遠い水平線 水面に浮かぶ夏のえがお 軽くてもいい いつか 解ってくれたら そう 私たちには絆があるじゃない この手に記した確かな絆が 太陽がサラサラ言い セミたちはいきおいよく飛んでいく

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