5月の蜃気楼

@sumomocollar

第1話 大学のアスファルト

朝はとても晴れていて、日差しは強いけど風は寒い不思議な日だった。

夏でもなく春でもない中間的な今月、自分にとっては居心地が良い。

昼寝にはいい季節になったな…と近々思うのである。


歳をとって思うことは父親の気持ちが分かること。

昼寝をしてボーとしていたあの人は、自分の預言者のごとく今に帰ってきている。

大きく息を吸って吐くことを繰り返しては、また眠りにつく。


今日は1限からあるから、朝8時30分頃に教室へ向かうとしよう。

少し長く遠くまで続いている道には、桜の木が並んで、優しく揺らいでいる。

人が歩く。

通り過ぎていく何か。

車が走る音。

石でできた道。

ロンファーを履いた自分にとっては朝から疲れた。

風は心地よいが。


約700メートル先に校舎の入り口が見えた。

蜃気楼が扉の周りに取りついていた。

自分はまた振り出しに戻って回想し始めた。

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