閑話 5

 昼休みどこまでだ話したっけ……。そうだ! あの頃の私を江戸時代の拷問にかけたいってところだ! 市中引き回しとか!


 それで桜は私が一番求めていた言葉をくれた。


「私は、まだ椿と仲良くしたいよ」


 桜は大人で、私は子供だったことにそこでようやく気がついた。おっそ。ばーかばーか。


 私はそこでいろいろと決壊して、急に泣き出した。桜はものすごく困惑していた。まじごめん。


 そして私は全部全部白状した。桜に嘘なんてつけるわけないから、あいつと仲良くする桜に嫉妬したんだとか全部言った。嫌われてもしょうがないと思った。


 でも桜は怒らないで、昔みたいに背中をさすって落ちつかせてくれた。桜は本当に優しかった。


 あの約束はたぶん一生覚えてるしなんなら墓石に刻みたい。いや刻む。


「椿! 私たちは唯一無二の親友だよ。日頃から椿に親友〜とか友達〜とか言うから、自信つけていこうか。そして約束ね! 私は椿に嘘つかないよ。隠し事は……するかもだけど、それは信じて許してね」


 私はそこで初めて桜の親友の称号をゲットした。


 もともとあったのかもしれない。でも実際に口に出したことで、確固たるものになった気がして飛び上がるぐらい嬉しかった。


 それから、私は桜と登下校するために学校に行くようになって、桜のママの百合さんから、桜の忘れ物が減って助かるって言われた気がする。そういえば私と桜の仲について、ママ達は一切口出ししてこなかったな。今となってはありがたい。


 私はめんどくさい人間関係なんて一切やめて、桜のクラスに入り浸った。


 ずーっと一緒にいた。周りの馬鹿達は「釣り合ってない」とか「ひとりぼっちの桜ちゃんと偽善で一緒にいる」とか色々言ってたけど、外野がどう言おうがどうでもよかった。班活動とかで少し困ったけれど、別に孤立しても大親友いるし、無敵だったから言う程問題じゃなかった。無敵だった、というか無敵だ、だな。桜がいる限り私の人生ずっと無敵だと思う。


 桜と仲直りしてから平和に過ごしてた。ただ、何月だっけ。二月か。期末テストが終わったあたり。私の大っ嫌いなあいつが転校することになった。


 私としては目の上のたんこぶがいなくなってちょっと寂しい程度だったけど、桜にとっては……


 はいはいはいはい! 黙想!! 黙想!!



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