閑話 4
昨日どこまで考えたか覚えてる! めっちゃキリのいいとこだった!
桜を家の中に入れてとりあえず座らせた。あれほど入り浸ってた家なのに、初めて家に来たんですか? っていうぐらい桜は緊張してたっけ。
気まずくて耐えられなくなったのか、急に私を褒め出したりなんかして。「髪の毛下ろしてるの久々に見た。とっても綺麗だね」とか言っちゃったりして。でも桜のことだから、お世辞は一切含まない、全部真っ直ぐな言葉だって分かって、余計苦しかった。
ちなみに中学生時代はずっとローツインテールだった髪を今は結ばず下ろしているのは、桜が褒めてくれたからだったりする。これは桜にも内緒にしてる。バレてるかもしれないけど。
その後私がなんにも言わなかったから桜もずっと黙ってて。しばらく沈黙が続いてたと思う。
私も何回か喋り出そうとしたけれど、私なんかが喋っていいのかなとか、いろいろぐるぐる考えてたら思うように喋れなかった。
そしたら桜が口を開いてくれた。
「ねぇ椿。もしかして私の事避けてる?」
って、唐突に一番訊かれたくて喋りたくないことを言った。
私はどう反応していいかわかんないまま沈黙を貫いた。なんか喋れよ!!! せっかくチャンスくれたのに!! ほんとガキだな!!!
その沈黙は、肯定を表していたから桜の表情が曇った。
「私なにか悪いことしたかな。教えて欲しいな」
と呟いた。私は悩んだ。桜の悪いところなんて一つもなくて、だいたいは私が最悪だったから。
でも私はどうしようもない女子中学生で、変なプライドが邪魔をして、まだ黙っていた。
今、目の前にあの時の私がいたらあらゆる江戸時代の拷問にかけたい。石抱きの刑とかいいんじゃないかな。
そして、桜は私の全てを壊す一言を言った。言ってくれた。
うわ、いいところだったのに。だんだん慣れてきちゃったなぁ。はいはい黙想黙想。薄目開けてないからとっとと出てってくださーい。
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