閑話 3
今日はちょっと余裕あるから考えられるぞ。昼休みどこまでいったっけ……。
そうだ中一の夏休み明けだ。
合唱コンクールがあった。私は指揮者がやりたかったけど、ピアノが弾けるからって伴奏にされた。
それでも頑張っていこうとした。でもクラスはまっったく一致団結しなかった。男子が音痴だったり女子が歌わなかったり。
ピアノだけ一生懸命やってもどうにもならなかった。みんなみんな自分の罪を認めず、他人に擦り付けた。
男子が音痴なせいだ、女子の声が小さいせいだ、リズムが乱れてる伴奏のせいだ。
私はそれでもまとめようとした。どちらにもゴマをすって、空気を読んで心を削って。男子はかなりの人数は納得してくれた。問題は女子だった。
どうやら男子に媚びているように見えたらしく、加えて八方美人だと言われるようになった。
私はモヤモヤしたけれどクラスをまとめることを諦めなかった。
でも無駄だった。
合唱コンクールは私たちのクラスが最下位だった。
その後、私たちの発表の動画をクラスで見た。
その時に女子たちが呟いた。
「ピアノの音、うるっさ」
彼女たちは自分達が負けた原因を、誰よりも頑張った私に押し付けた。そこでもう耐えられなくなって、次の日から学校に行けなくなった。この時の私、最高に中学生してるわぁ……。今考えれば馬鹿馬鹿しいな。私っていつも過去の自分を見下してる気がする。みんなそうなのかな?
で、それから一ヶ月ぐらい休んでたと思う。
いやぁ、それにしてもさ、なんで合唱コンクールなんてものがあるのかな? 上手くいけばそりゃいいだろうけど、音痴の人に注意するとか本当にやりにくいし。せめてなんかないの? こう、合唱コンクールよりも絶対他にいい行事あるでしょ。まぁ、個人の意見に過ぎないけどさぁ……。楽しむ人もいるし、口には出さないけどさぁ。
で、えーと? どこまで考えてたっけ? あぁ、あれだ。救世主のとこだ。
そんな時に私の救世主が、私の家のインターホンを押した。その救世主は桜で、休んで溜まったプリントを届けに来たらしかった。
その時家には私しかいなくて、代わりに受けとってくれる人がいなくて、すごく焦った。無視しようかなんて思ったけど、でもこの瞬間を逃したら桜と二度と喋られなくなる気がして、勢いよく扉を開けてみた。よくやったぞ過去の私。それだけは褒めてやるよ。
後から訊いた話だけど、プリントを届ける人を私のクラスから探していたら、桜が飛び込んできて自分から立候補したらしい。いやぁ、どこまで私を惚れさせたら気が済むのかな。
え、なんか声いい人がいる。黙想ですか!? はい!! 喜んで!!!
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