最終話 わたしが恋をしている人

きっかけは突然とつぜんだった。

もうすぐ1年生ねんせいわるというころ

蒼太そうたくんはとなりのクラスの女子じょしされた。


告白こくはくじゃね?」

「まじかー。ずりぃ」

クラスの男子だんしはそんなことをいながら、

がっている。


わたしは……


おれじゃダメか?」

おれじゃ、あのひとわりにはなれないか?」


蒼太そうたくんの言葉ことばおもしていた。


あのひとっていうのは、春翔はるとくんのことだとおもう。

でもわりってなに

その言葉ことばなん返事へんじをすればいいの?

ダメじゃないですってえばいいの?

そうしたら、どうなるの?


どうして蒼太そうたくんは、

そんな曖昧あいまいなことを、わたしに言ったの?


やりのないモヤモヤがこころくす。


教室きょうしつもどってきた蒼太そうたくんとう。

わたしはあわてて視線しせんを、はずした。


でも、そのさきには月乃つきのちゃんがいた。

月乃つきのちゃんはわたしのかたつかんで、

つづけたら、いつか絶対ぜったい後悔こうかいするよ」

と、った。


その放課後ほうかご

わたしは、蒼太そうたくんをめる。


「あの、蒼太そうたくん。

すこしだけはなせないかな?」

こえふるえる。


蒼太そうたくんはすこしうつむいたあと

「わかった」

一言ひとことだけった。


蒼太そうたくんが、わたしにきとってくれたおなじように、

ふたりであるいてかえる。


あのとは状況じょうきょうぎゃくだけど……。

今度こんどはわたしがはなばん


げて、ごめんなさい」

やっとしぼしたのは謝罪しゃざい言葉ことばだった。

蒼太そうたくんはまる。


「わからないの」

言葉ことばがまとまっていなくても、わたしは正直しょうじきおもいを蒼太そうたくんにける。

「わたしはずっと春翔はるとくんのことがきだった」

「でもあの蒼太そうたくんにきだってわれて、

それから春翔はるとくんへの恋心こいごころおもさなくなった」

「ずっと蒼太そうたくんのことばっかりかんがえてる」


「わたしは……」

きそうな気持きもちを必死ひっしでこらえる。

いちゃだめだ。


「わたしはね、蒼太そうたくんにこいしちゃったの」


「でも蒼太そうたくんが、わたしをきだと

ってくれたときの気持きもちは、なに?」


親愛しんあいですか? こいですか?」

「わたしのこと、まだきでいてくれていますか?」


あぁ、気持きもちをけるのってこわいんだな。

をそらしたくなるな。

でもあの蒼太そうたくんがわたしをてくれたように、

わたしも蒼太そうたくんから視線しせんはずさないように、じっとつめる。


おれは、夜宮よるみやつないで、いろんなとこでデートしたい」

一緒いっしょ時間じかんごしたい」


蒼太そうたくんはわたしのにぎってった。

おれは、夜宮よるみや星羅せいらこいをしたんだ」

夜宮よるみやき」


おれってください」


「はい!

よろしくおねがいします」

「ははっ、こちらこそ!」


蒼太そうたくんと出会であって、9げつ

わたしたちは、おいをはじめました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

親愛ですか?恋ですか? 椨莱 麻 @taburaiasa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ