一人で怠惰に死んでいきたい

糸田キノ

第1話

いつの頃からでしょうか。あまり異性に魅力を感じません。


いえ、感じてはいるのでしょう。ただ、そこに自分が足される想像が出来ないのです。


無能で有ることに慣れてしまいました。

有能になることは不可能だと信じてしまいました。

ただただ楽になる方法だけが残りました。


身近な人の死に涙を流せませんでした。

お世話になったはずなのに。

涙を流さねばと考える醜い思考と、自然に出来ない無感動さが私でした。


やるべきことをしてきませんでした。

液晶に映る世界が、現実よりも心が動かされてしまいました。


人の考えてることがすぐに理解できません。

空気を読むことはしたいが出来ません。


努力をしろと、人は言います。

いいですね、自分で努力出来る人は。


分かっています。

自分が誤っている事は。

人生が苦手なんです。


こんな自分でもいい、そんな甘えた言葉で生きていける世界で感謝します。嫌いだけど。


普通の人にもなれません。

だからといって特別ではありません。

劣悪なのです。


誰かの為になれない私は、

誰かのせいすることなく、

一人で怠惰にゆっくり死んでいきたい。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

一人で怠惰に死んでいきたい 糸田キノ @Udo7777

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ