第34話 新体制

 魔法隊には千詠を含む、12名の新隊員が入隊した。

 今後も、徐々に隊員をスカウトしてくると隊長が言っていた。


 俺は新隊員の装備を整えるのに、毎日ふらふらになって仕事をしていた。主に魔力切れが原因である。


 新入隊員が入隊したことで、俺たちは3部隊に分かれることになった。

 部隊配置は以下のとおりである。


 第一部隊

 隊 長:藤井 菊乃

 副隊長:立花 武志

 隊 員:甲斐 篤史

     出雲 まいこ

     廣松 弓香

     小暮 誠

     


 第二部隊

 隊 長:鈴石 早紀

 副隊長:永田 ヒカル

 隊 員:多々良 千詠

     清水 秀幸

     石島 敏文

     安西 カエデ

     


 第三部隊

 隊 長:多々良 拓也

 副隊長:凪 沙織

 隊 員:南 博之

     高梨 里沙

     下瀬 麻里

     井田 洋平



 白銀の騎士団の南さんは俺の部隊に配属になった。他の部隊にも何人か騎士団出身の隊員がいる。ヘッドハンティングってやつだな。

 

 隊長がスカウトしてきた新入隊員は部隊を分けるにしたがって前衛、後衛のバランスが完璧だった。

 俺の所属する第三部隊でいうと、南さんと下瀬が身体強化魔法持ちの前衛。高梨が探知魔法など補助。井田が俺や沙織と共に後衛から攻撃する役割になる。


 今回のスカウトでは回復魔法の使い手を確保するのにかなり苦労したらしい。

 今後、レベルを上げる中で誰かが習得できれば戦術にも幅が広がるんだが、そればかりは運まかせだ。


 そして、装備が整ったところでようやく魔法隊のダンジョン攻略が再開されることになった。


「今日は新体制となって初めてのダンジョン攻略になる。おそらく、新入隊員にとっては遭遇したことも無いほど強力なモンスターだと思うので、各部隊の隊長・副隊長はサポートを頼む」


「「了解」」


「さあ、魔法隊の再発進だ。気合を入れよう」


 隊長のその一言を合図に、俺たち魔法隊はダンジョンへ向かうことになった。





  ◇◇◇




「全然危ない場面に遭遇しないな……」


 ダンジョン攻略を始めて1時間。俺はそんなことを呟いていた。

 それぞれの隊員に渡している魔法具が強すぎるのだ。あっという間にモンスターを討伐していく。


「たくや。あのおじさん、意外と強いよね」


「そうなんだよなあ。騎士団から引き抜いて良かったのかね?」


 前衛で刀を振るう南さんを見て、俺と沙織は若干引いていた。

 最初はレベルが不十分で、少し苦戦しているようだったが1時間が経ち完璧と言えるほどの立ち回りを見せていたのだ。


 そうして、3メートルほどのオオカミのようなモンスターを倒し終わったところで、俺は南さんに声を掛ける。


「南さーん、一旦休もう」


「了解です、隊長」


「恐れ入ったよ。まさかこんなに強い人が仲間になるなんて夢にも思わなかった」


「ハッハッハ、褒めても何も出やしませんよ? それに、この刀のおかげですよ。スパスパ切れて面白い」


 南さんが持っている刀はもちろん俺が作った魔法具である。真っ白なその刀は誰が見ても美しいと言うだろう。

 この白色、というのが経験値ボーナスが付いている証だ。他の隊員も真っ白なライフル型魔法具を持ち歩いている。


 その後、隊員のステータスを確認したが、たった1時間の戦闘で30以上もレベルが上がっていた。今までの苦労が何だったのかと、南さんたちが大きく肩を落としていた。


「里沙、他の部隊はまだ先に進んでいるか?」


 俺は探知魔法を扱う高梨里沙にそう尋ねる。


「いえ、丁度他の部隊も足を止めているようです。連携の確認等行っているのでしょうか?」


「そうかもしれないな。今日はあと7時間進んで他部隊と合流、その後野営をして明日の朝まで休む。気を緩めないで着実に進んでいこう」


 そうして、俺たち第三部隊は休憩を終えた後も順調にダンジョンを攻略していった。




 


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