第7話 私とお兄ちゃんのナイショの関係

「ひなちゃん……あなた自分の出自について知っちゃったのね」


 びっくりしてとっさに「ごめんなさい」と言葉が口から出ていた。お母さんは優しげに私の瞳を見つめてくる。


「謝る必要はないのよ、本当はねひなちゃんが中学校に入った時にでも話そうと思っていたのよ、今まで話せなくてごめんなさいね」


 私はお母さんにふるふると首を振る、今まで教えられなかったのには何か理由があるのかなと思う。


「なんで知ってるって分かったの?」


「もう私が何年ひなちゃんのお母さんをしてると思うの、そんなのひなちゃんを見ていたらわかるわよ」


「お母さん……、私お母さんの子供のままでいいの?」


「何を言ってるのよ、ひなちゃんは私の子供よ、ひなちゃんが嫌と言ってもお母さんを辞める気はないわよ」


 そう言って私の頭を抱えるように抱きしめて背中をポンポンと撫でてくれる、私もお母さんの背中に腕を回しギュッと抱きつく。


「それにね、ひなちゃんは月夜ちゃんの事好きでしょ、お兄ちゃんとしてじゃなくて男の人として」


 お母さんが耳元でそっとそう囁いてきた。体がビクリと震えた、そっとお兄ちゃんに視線を向ける。お兄ちゃんはコーヒーメーカーを操作して、カップとソーサーなんかを用意している。


「ひなちゃん私は応援しているからね、あなたの好きなようにしなさい」


「いいの?」


「いいわよ、ひなちゃんが月夜ちゃんと結婚したら私も嬉しいわよ、それにねひなちゃんの本当のご両親とはお互い男の子と女の子が生まれて結婚してくれたら良いわねなんて冗談まじりに言ってたのよ」


「そう、なんだ、本当のお父さんとお母さん……」


「そうね、近いうちに詳しくお話しなくちゃね、それとお墓参りもいかないとねいつもはお父さんのおお参りに時一緒にお参りしてたけど誰のお墓か言ってなかったからね」


 二人して苦笑を浮かべる、そういえばいつもお父さんのお墓参りの時一緒にお参りするお墓があったなと思い出した。


 そうだこれは聞いておかないと。


「えっと私とお兄ちゃんが血が繋がっていないのってお兄ちゃんは知ってるの?」


「知ってるわよ、それに月夜ちゃんもひなちゃんの事好きみたいよ、妹としてじゃなくてね」


「ほんと!?」


 とっさに大声が出そうになり口元を抑えて囁くように声を出す。


「ほんとうよ、それとねお付き合いするのは良いけど、外では今まで通り兄妹として行動しなさいよ、ひなちゃんはまだ未成年なんだからね、それに成人するまではダメだからね、これだけは約束してね」


 最初何がダメなのかわからなかったけど、その、あの、あれの事だよね、顔が真っ赤になるのがわかった。


「もう、お母さん変なこと言わないでよ」


「変なことじゃないわよ、本当にダメだからね節度を持ってお付き合いしなさい」


 そしてお母さんが私の耳元に顔を寄せて「キスまでなら良いわよ」と囁きかけてきた。びっくりして体の体温が一気に上がったのがわかる。


「も、もう」


 色々想像してしまって頭がゆだってしまってそれだけしか言葉が出なかった。


「二人共仲良く何の話をしてたの?」


 お兄ちゃんがコーヒーをトレに乗せて持ってきてそれぞれの席に置いてくれる。


「「内緒」」


 偶然にお母さんとハモった、その事がおかしくて3人で声を出して笑う。


「さてと、じゃあお仕事は二人共受けるということで調整するわね」


 コーヒーを飲みながら3人で色々お話をした後にお母さんは仕事に行ってくるわねと出かけていった、去り際に「ひなちゃん頑張ってね」と声をかけてくれた。そうだね今がいいタイミングかもしれない、むしろ今を逃したらいつ告白するんだって話だよね、よし気合を入れて立ち上がりお兄ちゃんに立ち向かう。


「お兄ちゃん、聞いてほしい事があるの」


「どうしたの改まって」


 お兄ちゃんはいつものように笑顔を浮かべている。


「私ね、お兄ちゃんのことが───」


 この時から私とお兄ちゃんのナイショの関係が始まった。

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みんなにナイショの恋愛模様 三毛猫みゃー @R-ruka

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