第4章~白驟雨~
ソンギョンが14歳の年…
事件が起こった。
ところが…
本来であれば、拝謁叶うまで
それは…
いくら王や王族であっても、
そして、王族や両班を
貢奴と貢女は、何も
以上のことを理解していた上で
過激な集団などからは、世子を
との声も上がり、
都城を守る、
そんな
『姉上、早く参りましょう。急がねば、すぐに
『ちょっと待ってってば!そんなに急がなくても大丈夫よ。ソンギョンはまっていてくれているわ。そうだ!シムソ、ソンギョンが大好きな焼き菓子と先日頂いたお茶は用意してある?』
今日は親友のソンギョンの屋敷にお呼ばれしており、姉弟そろって大騒ぎで用意をしているのであった。
『お嬢様、坊っちゃま、お
御者はソンギョン嬢に会いに出かける時の姉弟がいつになく嬉しそうに、楽しそうに、騒いで用意をしている姿が、使用人としてとても嬉しい気持ちであった。
『ありがとう。今出るわ。』
ソルから気持ちのいい返事が帰ってくる。
ソルは屋敷の使用人たちへも、
『お母さま行って参ります。』
二人揃って、母の部屋に出かける挨拶をしに寄る。
『まぁま。シムソや、母に挨拶そこそこ、出発したい気持ちがはやりそわそわ、母は何と言って送り出したらよいやら…』
いつもは両の親に礼を
『そうなの。シムソったら、朝早くから私の部屋に来て、ずっとこの調子なのよ。』
吹き出し
『ソンギョンさんが、
母と姉に散々にからかわれ、もう隠すことが
『それに、ソンギョンさんの話はとても楽しくて、時がすぐに過ぎてしまうのです。だから一刻も早く参りたいのです。早くお会いしたいのです。なのに、姉上ときたら…のんびりしてらっしゃるので、隣でお手伝いをして差し上げておりました。もう出発の時間はとうに過ぎているはずです!』
母と姉が顔を見合わせて、吹き出している。
もういいから、早く出発を…とシムソ君はため息をついていた。
2人の母、ユン妃から見てもソンギョンはとても愛らしく、目を見張るほど
そんなソンギョンはソル公主にとって申し分のない友であり、シムソ君には王族ではなかなか知り得ぬ
そろそろ解放してやらねば…
と、シムソ君が
『いつもそなたたちがお世話になっているソンギョンが楽しい旅に出られるよう、
元々、旦那同士の付き合いから始まった、
今日は、ソルとシムソが心置きなく楽しめるよう、洪家に同行するのを遠慮してくれている様子であった。
『行って参ります。』
2人揃って、母の部屋を
屋敷の門をくぐり、
今日は、普段ソルが使用する輿よりも
シムソ君は
そんなシムソ君の話に適当な相づちを打ち、ソルの心は違うところへ飛んでいた。
ソルの心の旅先のお相手は、父の
ずっと小さな頃から、ソルとジフは幼なじみであった。
父の友人はそれぞれに持った家族とも互いに頻繁に交流があり、よく集まっていた。
沢山の人数の幼なじみ同士、顔を突き合わせて共に時が経ち成長し、年頃になれば、幼なじみの中でそれぞれ
そんな幼なじみの中で、ソルとジフは
まだ始まったばかりの、淡い初恋であるソルとジフの仲を知るのは、ソンギョンとシムソ君だけであった。
今日はソンギョンの住む洪家の屋敷で、ソンギョンのみに会う約束であるが、最近は頻繁にソル、シムソ姉弟とソギョンとジフの4人で出かけていた。
そろそろ年頃でもあり、
ジフの生家、
本人同士の淡い初恋とは言えど、縁談の話としては両家にとって
互いの父たちが反対する理由はないであろう。
ソルは今日、ソンギョンにその報告をしたいと心を
そう言えば…
ソンギョンはそう言った浮いた話を1度もしたことがないな…
ジョンウとはどうなっているのであろう…
数回しか会ったことはないが、以前会ったとき、とても仲が良く、息もぴたりと合い、互いを互いにとても大切にしているソンギョンとジョンウの2人であった。
しかし自分に話さないと言うことは、何か思うことがあるのであろうな…
と
洪家に到着したと、御者の声で現実に戻ってきた。
輿を降りると、シムソ君の
おおかた途中から輿の中の姉から返事がもらえなくなり、返ってきた返事は適当な生返事であったことに膨れているのであろう。
ソンギョンが門のすぐそばで、
ソンギョンは、母・
『二人ともいらっしゃい。とても楽しみにしていたのよ。さあ、上がって。』
ソル公主とシムソ君はそれぞれに用意してきた手土産を広げ、説明と紹介をする。
終えると、ソンギョンはなにやら大きな箱と
『これはね、
とソンギョンが紹介してくれる。
『
と世界図絵をバサバサと広げながら、ランドルを教えてくれる。
(ランドル…
ソルはソンギョンの話しを聞きながら、
『ランドルの貿易商が、この
と双眼鏡を見せてくれながら、花が咲いたようにころころと笑う。
そんなソンギョンに見とれていたシムソ君をつつく姉のソル公主。
我に返り…
『これはどのようにして使うのですか?』
と焦って答えるシムソ君に、吹き出すソル公主。
そんな2人のやり取りをクスクスと笑いながら、ソンギョンはシムソ君に双眼鏡を手渡してくれる。
『この双眼鏡は、こちら側を両の目に当てて使うのよ。目に当てて
説明しながら、開け放った窓から見える、屋敷の庭をあちこちと指差しながら、双眼鏡の説明をしてくれている。
双眼鏡から目を離すと、考えていたよりもソンギョンの顔がすぐ近くにあった…
みるみるうちにシムソ君の顔が真っ赤に変わる…
そんなシムソ君に全く気が付かないソンギョン、その2人を眺めて、やれやれ…
と思うソル公主であった。
『ソル。今日は早く帰らなければならないかしら。望遠鏡と言う、この箱の中の道具でね、2人に見せたいものがあるのよ。もしよかったら、泊まっていかない?』
ソンギョンの申し出に、ソルとシムソ姉弟は嬉しそうに頷く。
『もちろんよ!私もソンギョンに聞いてもらいたい話があったの。嬉しいわ。枕を並べましょうね。シムソはどうする?お世話になる?』
ソンギョンと過ごせる時間が長くなるのだ。
断る理由はどこにもない。
『私も世話になる、と屋敷へ使いを出します。』
シムソ君は、嬉しそうに立ちながら使用人を探しに部屋を出た。
部屋に残されたソルは、ソンギョンと2人きりになった。
ソルは恥ずかしそうに、嬉しそうに、話し始める。
『あのね。私…ジフとのことを父上に話そうと思っているの。ジフも私とのこと、ジフのお父上に伝えるそうよ。じきに
ソンギョンの
肌は透き通るように白く、目鼻立ちは
そんな可愛らしいソルが、頬を
『おめでとう、ソル。自分のことのように嬉しい。絶対に幸せになってね…』
目にいっぱいの涙が
夜になり、3人は洪家の庭で空を眺めていた。
『ソンギョンさん、姉上、
シムソ君が大喜びをしている姿を、ソンギョンとソルは少し後ろで嬉しそうに眺めていた。
ソンギョンの心は、温かい気持ちでいっぱいであった。
嬉しい知らせを運んでくれた親友のソル、新しい世界を両手を広げて受け止めようと顔を輝かせている弟のようなシムソ君。
この2人といつまでもいつまでもいつまでも、この様に過ごしていけたらどんなに幸せなのだろう…そう思わずにはいられない、
~
【雨足が強く地面に落ちる際に白く跳ね返るような力強い秋の雨。】
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