第2章~綺羅星~
洪家の長男・ミギョンは、
ところが…
母が急にお腹を押さえ、苦しみの表情でうずくまってしまった。
母は来月になれば
『母上、どうなさったのですか?腹が痛むのですか?医者を呼びに参ります。それまで
と早口で伝え、家の者を大声で呼んだ。
『誰か!』
と言うやいなや、廊下で
それと入れ違いに、ミギョンは
『医者を呼んで参る!』
と飛び出して行く。
開いた扉の側に立つ弟のダオンは、母の姿を見て不安そうに泣きべそをかいていた。
屋敷を出る
『母上が苦しそうにしておられる!私は医者を呼びに参るうえ、そなたは父上に
と伝えた。
父は本日は
洪家の2人の息子たちは、近所でも有名で将来を
ミギョンは医者の家まで
見事な差配ができても、まだ7つの子どもである。
母上が心配でたまらない…
去年から通い始めた私塾の友は、下の兄弟の出産で母を亡くしたと聞いた。
本当は怖くてたまらない…
のである。
門を
『ミン先生はご
と叫んでいた。
ミン・ソジュンは、宮で
妹のミンソから、ミン先生に洪家はお世話になっていた。
『ミギョンではないか。母に何かあったのか?そなたの母は、
言葉にならない返事を
ミギョンはミン先生の顔を見や否や、みるみる涙を目いっぱいに溜めてしまった。
不安でいっぱいだった…
そんなミギョンにミン先生は、
『急ぐぞ、ついて参れ。』
と告げた。
屋敷に着くと、ミギョンは大声で
『ミン先生のご到着だ。お世話を
と屋敷の使用人を呼ぶ。
母の部屋へミン先生を案内した。
開く扉から、一瞬母の姿が見えた。
下に引かれている布団は真っ赤に染まっていた…
立ち尽くした…
言葉が出なかった…
部屋の外で同じく立ち尽くす弟のダオンの手を取り、2人で
手をつないだまま、弟のダオンを見つめ
『母上はきっと大丈夫じゃ。私たちを置いてどこへも行かぬ。ミン先生も到着されて、父上もじきに戻られる。きっと大丈夫じゃ。』
と弟ではなく、自分に語りかけるように話す。
【きっと大丈夫じゃ。】
【母上は強いお人じゃ。】
【何より、私たちを何よりも大切に思うて下さっておる。】
『ミギョンや、母上の様子はどうじゃ。』
母の部屋の前の縁台に腰掛け、弟の手を強く握ったまま、うつむくミギョンの前に、
父の姿を理解した瞬間、目にいっぱいの涙が込み上げてきた。
父に何か伝えなければ…
口を開けたり、閉じたり、はしてみるものの、弟の手前、真っ赤に染まった布団の話はできず、ただ見つめることしかできずにいた。
と、そこへ…
『オギャア、オギャア』
と赤ん坊の泣き声が耳に入る。
ミギョンは目を
と同時に靴も脱がずに部屋の扉を
部屋の奥で、母の手を握り、何かを伝える父に笑顔で頷く母がいた。
長兄を
ミギョンは、出産の時に自分に苦労をかけたこの妹の愛らしさがたまらなくいとおしく、時間があれば母と共にいるソンギョンに会いにきていた。
可愛くて仕方がなかった。
ハイハイを始めれば、共にハイハイをし、つかまり立ちを始めれば、手を取りつかまり立ちの練習を付き合った。
ミギョンとソンギョンはとても仲の
洪家はこの頃、本当に穏やかで、事件とは無縁で、取り立てての何か、は文官ではあるが兵曹参議であった父が
~
【夜空に光る星たち】
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