ヤングケアラーの少年と天邪鬼を主人公に据え、児童文学という分野で現代日本の病理を正面から扱った作品でした。描写はコミカルであるため子どもたちでも読むことができる内容ですが、大人の視点から見るととても考えさせられます。主人公に天邪鬼を据えた理由の一つとして、作中で扱われている「全員が右向け右の国は滅びる」という思想があり、太平洋戦争が事例として挙げられていますが、「多様性」をうたいながら、空気を読むことを尊ぶ現代社会の中で、天邪鬼は必要な存在なのだと感じました。