第4話:提督比較(仮題)

 2600年という記念すべき年も暮れが近づき始めた頃には帝国議会も第七十六回が開かれていた。そして、運命の2601年が訪れた……。


  やはり、ここで使うべきか。


「姉様?」

「いかが、なさいましたか」

「決めました、パスをつなぐ相手を」

「まあ」

「それはそれは……、して、お相手は?」

「高松宮殿下です」

「……大和姉、さすがにそれは……」

「不敬ですか?」

「いや、それもあります、それもありますけど……」

「大和姉、まさか宮様将校を座乗させるお積もりで?」

「……まあ、そういうと思ってました。とはいえ、高松宮殿下と直接のコンタクトは取りません。その副官に焦点を当てます」

「副官、というと……。有馬晴彦さんですの?」

「名前は知りませんが、その人にしておこうかと」

「な、名前すら知らない相手にパスをつなごうとするとは……」

「大和姉は、大胆ですねえ……」

「素直に、GF長官にしないんですか?」

「山本は愚将ですから」

『えっ』

「とはいえ、やはり提督級とコンタクトは取っておきたいんですよねえ……」

「い、いや、大和姉?」

「や、山本長官が愚将ってのは、ちょっと……」

「えっ、愚将ですよあれは」

『いやいやいやいや』

「……まあ正直、非常事態になったら考えますが、進水日までは慎重に考えさせてくださいな」

「は、はあ……」


「……大和姉は、どこか浮世離れしているわねえ……」

「山本提督が愚将なら、誰なら優秀なのかしら」

「……実は、姉様の提督寸評票があるんですが、見ます?」

「まあ、そんなのがあるんでしたら早く見せて下さいな」


「……」

「どう?」

「……結構、辛辣ですわ……」

「その割に、「名前が素敵だ」とか杜撰な分析もありますわね」

「……まあ、いいんじゃないでしょうか」

「陸奥!」

「正直、姉様が戦場に出るような戦局だと終わりの始まりでしょうし」

「そうは言うけどね……」


 彼女達の持つ紙片には次のように書かれていた。

 ◎末次

 ○長谷川、醍醐

 ▲高松宮、伏見宮、東伏見宮

 △吉田

 ☆井上

 ×山本、米内

 どういう意味かは、不明である(いけしゃあしゃあ

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軍艦大和の生涯 城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」で宜しく @H_Eneko

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