11.5話 速報
ある程度の準備を済ませて、美穂が料理をしている間に子供達はテレビを見ていた。
『次の特集です。近年各国の海岸など未確認生命体と思われる死骸などが漂流する事案について専門家は………………』
テレビの画面には、海辺にあがった大きな動物や奇妙な生物の死骸が映る。
「うぇ~~~きもちわるい~~~」
フミがあからさまに嫌な顔をし、ソラも顔をしかめる。
「すっげ~~本当に地球に宇宙人とか怪獣っているのかな?」
ユウキが目を輝かせる横でハヤトは、
「………どうせくじらとか動物の死骸なんでしょ?ぼく、ネットで見たよ」
専門家みたいな分析をする。
「そんなこと言うなよハヤト~もしかしたらドラゴンとかいるかも知れねぇじゃんか」
「そんなおっきな怪獣がいたらもうとっくの昔に見つかってるって現実みなよ~ユウキ兄~」
「なんだと~~~」 正論を言われてムキになるユウキ。
「おいおい…喧嘩するなよな~」「そうだ!そうだ!」
そんなユウキを宥めるソラとフミすると………ダイニングから声がかかる。
「みんな~ご飯できたよ~~~!」
「「「は~い~~~!!」」」
大きな怪獣よりおいしいご飯、みんな我先へとリビングに向かう。
ーーーーーーーーーーーーーーー
………つけっぱなしのテレビの画面に『速報』の文字。
『速報です』 アナウンサーが速報を読み上げる。
『さきほど、女性を襲った暴行犯が警察に射殺されました。今日の夕方未明、○○市内で20代の女性が年齢性別ともに不詳の人物に鈍器のような物で襲われていると通報があり、警官が駆け付けたところ凶器を振り回す容疑者を発見。警官が凶器を下ろすよう警告しましたが、それを無視し襲い掛かってきた為、発泡し腹部を撃たれ容疑者は救急車が駆け付ける前に死亡しました。女性は頭を鈍器で殴られ重傷です。目撃者の証言によりますと、容疑者の特徴はひどく小で顔が老人のように老けており衣服はほぼ身に着けておらず、その上塗料か何かで体を緑色・・に染めていたとのこと。警察は発泡に正当性があると主張し、容疑者の身元や国籍を調査中とのことです以上速報でした。』
だが、そんな奇異な事件にも関わらず結局この事件の続報がニュースに流れ事はなかった。
僕のディストピア(現実世界)~怪物が溢れた世界で生き抜く~ @hikaruozisan
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