実際に体験した真夏の怖い話

さがら

実際に体験した真夏の怖い話

それはある夏の出来事だった。

その夜、僕は自宅に1人でいた。

なぜなら両親は共働きで平日は帰りが遅いためだ。

その日はとても蒸し暑くジメジメしていた。

夏特有の環境だ。

僕はそのジメジメとした蒸し暑さを振り払うかのように、畳に座り扇風機を回しテレビを観ていた。

ちょうど19時になった時、「恐怖!!これが本物の幽霊だ!!」という夏の特別企画番組が始まった。

僕は一瞬「ゴクリ・・・・。」としたが、怖いもの見たさも手伝ってチャンネルはそのままにした。

僕の自宅はいりくんだわりと都会の場所にある2階建ての一軒家。

自宅から500メートルのところには、お寺があり僕の2階の部屋の窓からかすかにお墓が見える。

幸い、僕は1階でテレビを観ていた。

「2階だったら、お墓が見えていたなぁ」そんなことを思い浮かべながら、幽霊番組を観続けていた。

お約束のような心霊写真。

写真には男性の肩に幽霊のらしき、女性が恨めしそうな顔で写っている。

霊能者は「これは地縛霊で、この世に恨みをもった霊が偶然写り込んでしまった」と説明していた。

さらに「その場所はいろんな霊の通り道なのです。」とも話している。

「幽霊の通り道があるなんて」僕は思わず緊張した。

自宅から500メートルの場合にお寺・・・・ま、まさか僕の自宅が幽霊の通り道になっていないよな・・・・。

そう思いながら幽霊番組を観続けた。そして内容は幽霊の恐怖体験へ・・・・再現VTRが流れた。

とある男性がアパートに1人暮らし、夜、仕事を終えてビールを飲みながテレビを観ていた。

すると突然、テレビの画面が「ザー」という音と共に砂の嵐になった。

男は「なんだ?」とテレビチャンネルのリモコンを手に取ろうとする。

すると、後ろの窓ガラスが「ガタガタガタッ」と揺れた。

振り向くと窓ガラスには、顔面を血で真っ赤に染めた女性の姿が映っていたという。テレビのスタジオでは「キャァー!!」という悲鳴。

テレビの解説者は「この男性によるとそこはかつて、お墓の跡地で男性は知らなくて入居してしまったようなのです。」と説明していた。

そして霊能者は「このスタジオ内でも霊は来ているのです。じつは、幽霊番組などを放送すると幽霊を呼びよせてしまうのですよ。」「番組を観ている方々の中にも、もうすでに幽霊を呼びよせてしまっている人もいるかもしれません。」僕は正直、固まった。

「なんてことを言うのだ・・・・。」しかし、霊能者はこう説明した「ご安心ください。これから皆さんと一緒に除霊をしていきますので、テレビを観ている視聴者もチャンネルを変えずに除霊していきましょう。」僕は内心「ホッ・・」とした。

「なんだ、除霊をしてくれるのか」そう安心したときだった。

突然、テレビの画面が「ザー」と砂の嵐になったのだ。

僕は目の瞳孔が開き、冷汗がどっと流れだした。

これはまさにテレビの再現VTRに流れたような展開。

誰もいない自分しかいない1階の部屋。

「まさか、まさか、まさか・・・・」「なんで突然、テレビの画面が砂の嵐に・・・・。」テレビの再現VTRでは、後ろを振り返ると血まみれの女性が・・・・。

「しかもこれから除霊しようする前に・・・・。」これは幽霊が除霊をする前に現れるつもりなのか!!

僕はその「ザー」という砂の嵐となったテレビ画面を観続け、冷汗をかき動けなくなってしまった。

「テレビチャンネルのリモコン。」僕は目だけを動かし、テレビチャンネルのリモコンを探した。

「後ろだ!!」僕は思い出したかのように、テレビチャンネルのリモコンの場所をキャッチした。

テレビチャンネルのリモコンを取るには振り返らなくてはいけない。

振り返らず手を伸ばしテレビチャンネルのリモコンを取る事も考えた。

しかし、しかしだ。

もしテレビチャンネルのリモコンに手を伸ばし、そこに知らない人の手があったら・・・・。

僕はひたいにどっぷりと汗をかき緊張がはしった。

振り返ってテレビチャンネルのリモコンを取るのか。

はたまた、振り返らず手だけを伸ばしテレビチャンネルのリモコンを取るのか。

僕の心に恐怖の激震が走る!!さらに思い出しかのように、「幽霊の通り道・・・・」僕の自宅近くにはお寺があり、まさかここは幽霊の通り道に!!「ちょっとまて!!」「そんなバカな!!」「誰か!!」僕はもう呪文のように「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・・・」と必死に唱えた。

「悪いことなんてなんにもしていません!たすけて神様!!」すべての仏様、神様を味方につけるように必死に願った。

そして、ついに僕は心の覚悟を決め、大きな唾をのみ込み、意を決しておそるおそるテレビチャンネルのリモコンがある後ろを振り返った。

そうすると、そうすると・・・・

テレビチャンネルのリモコンのある場所に白いもの影が・・・・。

「で、出た!!」僕は一瞬、目をふさいだ。

そして、ひたいに大量の汗をかき、ゆっくりと目を開けて見ると・・・・。

僕は見た!!見てしまった!!

うちのねこが前足でテレビチャンネルのリモコンを踏んで座っているのを!!

うちのねこはまるで、何事もなかったかのように涼しい顔でテレビチャンネルのリモコンを踏んでいる。

僕は思わず、その場に崩れ落ちた。

これは実際に体験した真夏の怖い話です。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

実際に体験した真夏の怖い話 さがら @sa-ge-ra

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ