with幼馴染 inトイレ

炭石R

with幼馴染 inトイレ

 俺は、おむつを履いていた頃から莉陽りおと共に過ごしてきた。

 どこに行く時も一緒だった。公園に。山に。川に。体中を泥だらけにされたり、びしょ濡れにしたりした。

 並んで歩いた帰り道。莉陽の家の前で繋いだ手を離して、また明日。そう約束して、俺は隣の家に入った。


 でも、時が経てば心も身体も成長へんかする。莉陽に始めて生理が来た時に、それを痛感した。

 お互いに異性であると意識した。距離感も変わり、日常の崩壊に戸惑う俺達を、周囲は揶揄った。

 好きな人を聞かれた。どこまで進展しているのかを聞かれた。将来の結婚相手を聞かれた。

 それでも、俺達は一緒に居た。けれど、決定的な出来事が起きた。


 莉陽が熱を出して、傍に居て欲しいと言われた俺も一緒に学校を休んだ、その翌日。俺達が教室に入ると、黒板に大きく書かれていた。


 莉陽!妊娠おめでとう!


 それを見た莉陽は耳まで真っ赤にして俯いた。俺は犯人が分かったので殴りかかったが、すぐに担任が来て、一方的に叱られた。俺と犯人が殴り合っている最中に、証拠こくばんを消されたのだ。




 この事件をきっかけに、俺達は疎遠になった。

 そういう事にした。

 この牢獄いなかから脱獄にげだして、二人で幸せに暮らせる日まで。触れ合わない。話さない。目も合わせない。そう決めた。






 だが、俺達がそんな状況に耐えられる筈も無く。この何も無い田舎の中で、周囲の攻撃しせんから守ってくれる場所を探して、そんな都合の良い場所は無いと一度は諦めて。

 ようやく見つけた隠れ家が、トイレだったのだ。






 朝六時。俺は冷たい便座に座っていた。俺と莉陽の家は、トイレがちょうど隣に並んでいる。本当はお互いの部屋から話せれば良かったが、残念ながら真反対に位置していて、こっそりと話せるのはトイレしか無かったのだ。

 俺は立ち上がり、窓を開けて腕を伸ばすと、


 ――コン、コン、コン、コン、コン


 ゆっくりと五回、隣の家の窓を叩いた。


 ――コン、コン


 二回叩き返されたので、再び叩く。


 ――コン、コン、コン、コン


 今度は四回。

 あいしてる。すき。だいすき。俺と莉陽だけの、秘密の愛言葉あいことばだ。


 ――ガチャっ


「あけましておめでと、玲渚れお


 ノックの回数で俺だと確認した莉陽が、窓を開けた。トイレの窓は曇っている上に、向こうの窓は少ししか開かない。それでも、電話を持っていない俺達にとっては、会話が出来る貴重な時間だ。


「今年もよろしくな」


「うん。そっちは今年も早いの?」


 毎年、莉陽の家はおせちを食べて、のんびりしてから昼頃に初詣に行くが、俺の家は違う。朝起きて支度をしたら、すぐに初詣へ向かう。


「ああ。莉陽は昼だろ?」


「うん」


「じゃあ、二時くらいか。いつものとこでいいよな?」


 俺達が最も安心して会える場所。神社の裏手にある、古びた公園の多目的トイレだ。不倫に使われるだけあって、密会デートに適しているのだ。


「私は行けると思うけど、玲渚はそれで平気なの?」


「荷物持ちを任されるだろうけど、適当に抜け出すよ」


「わかった。じゃ、また後でね」


「またな」


 トイレの外に音が漏れない事は確認済みだが、長く入っていると怪しまれる可能性もある。今日は昼にもう一度会えるんだから、今は我慢だ。






 俺は初詣や親戚への挨拶めんどうなあれこれを終わらせて、福袋の荷物持ちは途中で逃げてきた。

 公園に入り周囲を見渡すと、人の気配が無い事を確認してから、トイレの扉を叩く。


 ――コンコンコンコンコン


 早く会いたくて、素早く五回。


 ――コンコン


 莉陽も同じなのか、即座に叩き返され、


 ――コンコンコンコン

         ガチャっ


 叩き終わると同時に鍵が開いた。俺はもう一度だけ周囲を確認してから、多目的トイレに入る。


「会いたかった」


 それと同時に莉陽に抱きつかれて、唇を塞がれて、舌が入ってくる。俺は後ろ手で鍵を閉めてから、抱きしめて、莉陽を堪能する。


「……んっ、もう。今はだめ」


「ちょっとだけだから」


 莉陽の柔らかいお尻を揉んだが、拒まれてしまう。入ってすぐにキスされた。つまり、時間に余裕が無いという事だ。

 しかし、今の莉陽を見て何もしないなんて考えられない。桜色で、鶴が描かれた着物を着ているのだが、いわゆるミニスカート着物というやつで、丈がとても短い。ほんの少し捲るだけでショーツに触れてしまう。


「ほんとにだめ。我慢、できなくなっちゃう」


「こんなに可愛い格好してるのに?」


 当たり前だが、いつもの莉陽は普通に着物を着ている。つまり、多目的トイレに入ってから俺を待っている間に、わざわざ丈を折って短くしたのだ。それも、脚が冷えるのを我慢してまで。


「……だって、せっかく新しい着物を着たんだもん。って、ちょっ、もう。……そこまでだからね」


「……ん?」


 莉陽に頬をつねられた。

 俺は無意識で着物を脱がせていたらしい。莉陽は着物を着ておらず、素肌の上から薄衣を一枚羽織っただけの、非常に扇情的な姿になっている。


「……莉陽が可愛すぎるのが悪い」


「まったくもう。ね、痕つけて?」


 俺は肌襦袢をはだけさせた。現れたのは控えめな大きさだが、綺麗で最高のおっぱい。


 ――チュッ


 上から口付けをする。莉陽の汗を味わうように吸い、


「んぅっ……」


 愛の証キスマークを残す。上乳は莉陽からは見やすいが、他人ひとからは絶対に見えない位置だ。


「えへへ、ありがと」


「どういたしまして」


 駄目だ。笑っている莉陽を見るだけで興奮してしまい、下着に染みが出来るのを感じる。


「玲渚さ、我慢してるよね。いつもの位置は無理かも」


「分かってる」


 俺は服を捲って、腹を出した。いつもは太ももの付け根に愛の証キスマークを付けてくれているが、今そんな事をすれば、莉陽は匂いで発情する。そうなれば俺も我慢は出来ない。と後片付けを合わせると、五時間は軽く飛んでしまう。


「いい匂い……」


 地面に触れないように浴衣の裾をたくし上げると、膝立ちになって、顔を近付けた。スンスンと鼻を鳴らしている莉陽を見て、俺は興奮する。そうなれば匂いは濃くなり、莉陽が更に興奮して、俺も更に興奮する。

 無限にお互いの興奮を高め合ってしまう。


「あんま嗅ぐなって」


「……だ、だよね」


 ――ちゅっ


 下腹部を吸われた。視線を向ければ、斜めに赤い痕が残っている。


「待って、まだ動かないで」


「ん?」


 もう一度だけ莉陽を抱きしめて、愛し合いたいと思ったが、止められてしまった。


 ――ちゅぅっ


「ほら、ハート。可愛い?」


 再び視線を向ければ、斜めの痕が二つ合わさり、ハートに変わっていた。上目遣いで、褒めて欲しいと訴えかけてくる莉陽が可愛い。


「めっちゃ可愛い」


「もう。ばか」


 俺が何に対して言ったのかも伝わって、肌襦袢が地面に落ちるのも気にせずに立ち上がり、抱きついてきた。おっぱいが形を変えて、柔らかさを伝えてくる。


「莉陽、愛してる」


「私も。好き、大好き!」


 抱きしめて、キスをする。あまり体を触ると莉陽の我慢が限界に達してしまうので、優しく触るだけに留めなければ。






「もうそろそろ、行かなきゃ」


 少しだけお互いを堪能すると、莉陽が溢した。


「今日の夜は、日付が変わってからだよな?」


「うん、一時くらいかな。遅くなるかもしれないけど、絶対に行くから」


「分かってる」


 莉陽の家は、元旦に親戚を集めて新年会を開く。いつもと違い、大人が夜遅くまでお酒を呑んでいるので迷惑極まりない。その所為で、莉陽と会えるのが遅くなってしまうのだから。


「あ、これあげる。プレゼント」


 莉陽は着物を着付けるのかと思いきや、止まった。そして、白いショーツを降ろす。そこから取り出したのは、濡れていて、濃厚な莉陽の匂いがするトイレットペーパーだ。

 俺が我慢出来なくなるのを予知して、渡す為に仕込んでおいてくれたのか。


「うわ、めっちやいい匂い。ありがと」


「も、もうちょっとだけガマンして」


「悪い」


 今のは羞恥では無く、興奮が理由だな。匂いを嗅がれて、我慢が出来なくなるからだ。全く、本当に莉陽は。可愛すぎて困る。




「じゃあ、またね」


 莉陽は着物を綺麗に着付けて、髪を整えて、外に出る準備を終えた。


「またな。この後、頑張れ」


「うん。ありがと」


 ――チュッ


 最後にもう一度だけ、唇を合わせるだけのキスをして、莉陽はトイレを出た。

 トイレに一人になった俺は、貰ったトイレットペーパーで鼻と口を覆い、嗅覚と味覚を最大限使って莉陽を味わう。

 ここからは、お愉しみの時間だ。






 深夜二時半。俺は家のトイレに居た。人々は寝静まり、窓の外は真っ暗闇。冷たかった便座は、既に温かくなっている




 ――コン、コン、コン、コン、コン


 窓の外が明るくなったので、俺はなるべく音が響かないように、優しく五回、窓を叩いた。


 ――コン、コン


 二回叩き返されたので、


 ――コン、コン、コン、コン


 四回叩く。


 ――ガチャっ


「ごめん、寝ちゃってた」


「気にするなって」


 去年もそうだったからな。早寝早起きの莉陽にとって、新年会が終わるまで起きているのは難しいのだ。


「おしっこ、するね」


「分かった」 


 俺が耳を澄ませると、


 ――ショァァアァァァァ


 すぐに勢いの良い水音が聞こえた。トイレで待ち合わせしているので、出している姿を見る事も多いが、寝起きの莉陽は特に勢いが強い。




「ふぅ……。ちゃんと聞いてた?」


「まあな」


「大好きな女の子のおしっこの音を聞いて興奮するとか、へんたーい」


「興奮してないからな?」


 立ってしている姿を見るのであれば話は別だが、音だけならば聞き慣れているので、興奮はしない。なんなら、今の声の方が興奮する。


「むぅ。私の全部で興奮して欲しいのに」


「まあ、頑張れ」


 俺は既に莉陽の全てを求めているが、それだけでは飽き足らず、全てで興奮して欲しいと言う。こればっかりは俺にはどうしょうもない。


「ひどい、薄情者」


「まあまあ。これで機嫌を直せって」


 俺が腕を伸ばして、少しだけ開いた窓から人差し指を立てた手を挿れると、


「ぇへ、ありがと。れろ……、ちゅぱっ……、ぁむ……」


 指を舐められて、しゃぶられて、咥えられた。


ほれこれひゅごいすごいえおはれおがふいこい


 莉陽を待っている間、ずっと自分でしゃぶっていたからな。俺の唾液を大量に吸って、ふやけている。


「嬉しそうでなによりだよ」


ひぉっおちょっとはっへぇまってね


「分かってるから。ゆっくりでいいよ」


 熱い舌に舐められて、しなやかな唇に挟まれる。それだけで心地よいのだ。


ぅんうんはぁあとありがと




「ぇれ……、じゅる……、くぽっ。……ごくっ。えへへ、ごちそうさまでした」


 十分くらいすると、指に付いた唾液を全て舐め取られて、吸い取られて、ようやく指が解放される。

 そして唾液を飲み込むと、満足気に言った。


「ああ。じゃあ、よろしくな」


「うん、任せて。……ぁむ」


 再び指を咥えられた。けれど、先程とは違い、優しい動きだ。

 マッサージをするように、唾液を絡ませるように。指紋の皺を全てなぞられているのかと錯覚してしまう程、丁寧に舐められる。


「やばいっ、それ。凄い気持ちいい」


おぉふんひぁこうふんした?」


「ちょっとだけな」


ふぇぃいうれしいおふおくぉひぇおして?」


「……分かった」


 俺は指を舌の付け根に合わせて、軽く押し込んだ。


「ぉえぇっ……、ぁいあとありがと


「それは、俺の台詞だろ」


 莉陽が嘔吐いて、唾液が大量に溢れてくる。莉陽の口内なかを弄っている時に発見した荒業だ。俺の為に、ここまでして唾液を出してくれるのが嬉しくて、最近では莉陽が嘔吐いた声で興奮してしまう体になってしまった。




「……うん。もういいよ」


「ああ」


 俺の指がしっかりと濡れたので、莉陽の唾液が垂れないように、指を回しながら口元に運び、舐める。


「あぁ……」


 口に含んだ瞬間に甘さが広がり、脳が莉陽こうふくで満たされる。


「おかわりは、いっぱい溜めておくからね」


「ありがと」






「これ、今日のご褒美」


 俺は何度もをして満足したので、パンツを脱いで、窓の隙間から莉陽に渡す。


「ぇ?これ、やばくない?やばいって。やばいよ。ほんとに。……合法?」


「合法に決まってるだろ」


 今渡したパンツは、新年会じごくを乗り越えた莉陽の為に用意した、特別製だ。

 一昨日の夜から履いていて、今日の夕方にはランニングもした。俺の汗や、それ以外の物も大量に吸っていて、匂いも酷い。

 違法な物は一切入っていないが、莉陽にとってはどんな薬物にも勝る依存性がある代物パンツだ。混乱するのも仕方がない。


「やばいよ、これ。明日の夜、期待しといて」


「分かってる。今から楽しみだよ」


 莉陽も昨日の夜から前準備をしてくれているので、既にショーツは出来上がっているが、そこに俺のパンツで興奮した証が加わる。つまり、今日のトイレットペーパーとは比べ物にならない程、濃厚な莉陽を堪能出来るのだ。

 明日は本家の宴会に一日中拘束されてしまうが、夜になれば莉陽からご褒美ショーツが貰えると思えば、耐えられる。


「……受験勉強、頑張ろうね」


「だな。来年の春まで、あと少しの辛抱だ」


 俺達は都内の全寮制高校に通う。偏差値が高い有名な高校なので反対はされなかったし、学力の問題も無い。莉陽は推薦で、俺は他の高校の滑り止めとして受験する予定だ。

 そこは男子寮と女子寮で別れているが、女子が男子寮に入る分には黙認されているらしい。もし仮にそれが嘘だとしても、この地獄いなかに居るよりは、気楽にイチャイチャ出来るようになる。


「うん、そうだよね」


「じゃあ、……そろそろ寝るよ。明日の朝は会えないと思う。夜は、日付が変わる位かな」


「ちょっと待って。指ちょうだい」


「分かった」


 俺は理由を聞かずに、指を差し出す。


「明日、頑張ってね」


 ――ちゅっ


 応援の言葉と共に、指先に軽くキスをされた。本当に莉陽は……。やる事が全て可愛い。


「ありがと。頑張るよ」


「じゃあ、おやすみ」


「ああ、おやすみなさい」


 ――チュッ


 俺は自分の指で間接キスをしてから、トイレを出た。

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