「「せーの。」」

@golugo130000000

「「せーの。」」

 僕はしがないサラリーマン。今日も朝から会社に行く。いつも通りのルーティン。徒歩で駅まで歩いている途中、カタっと何かが落ちる音がした。振り返ると、一台のスマートフォンが落ちていた。

「これ、落としてませんか?」

僕は目の前の女子高生に声をかけた。振り返った彼女は、肌の白い、今風の可愛い女の子だった。

「ありがとうございます」

元気のない声でそう呟いた。スマホを見てみると画面が粉砕し、使えるものではなくなっていた。

「ごめんね。落としちゃったから、画面がバキバキだね。落ち込んでるみたいだけど元気出してね」

「いいえ。スマホはこの前高いところから落としちゃって。もともとバキバキなんです。けど大切なスマホだから手放せなくて。元気がないのは、彼氏に浮気されちゃったからなんです。」

「そうなんだ。君みたいに可愛くても浮気されるんだね。」

「もともと遊びだったんですよ。彼にとっては。夢見させて貰っただけでもラッキー、ぐらいに思ってます。」

「そうなんだね。辛い思いをしたと思うけど、後ろを振り返らないで、前に進んでね。」

「お兄さん優しいね。私の身体目当てなの?」

「君の身体なんてもらえないよ。」

「それもそうだね。私、友達と待ち合わせしてるんだった。遠くに出かけないといけないから、そろそろ行くね」

「うん。行っておいで。次はいい人を見つけるんだよ。」

私は最後に彼女にそう声をかけると、彼女は去って行った。


彼女の幸福を祈るばかりであった。





















私からも、

彼女の

「冥土での」

幸福を

お祈り致します。



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