日本にはこのような言葉があるにもかかわらず、うっかりというか、がっかりというか、性懲りもなくというか、そういう、自分の目の届く範囲にあるものはすべて自分のものにしたいと願う異常に我の強い方って、いると思うのですよ。

で、この物語はネタバレしちゃうともったいないですので、ぜひ本編をじっくーり読んでみてください！！　二度と誰かを呪えなくなりますよ。

最強の力を持った陰陽師でありながら、メンタル弱々の青年慶次郎と、切れ切れのツッコミを入れる女子大生葉月が活躍した【ヘタレ陰陽師シリーズ】の最新作。

本作では本編より５年が経過していて、葉月も社会人に。
そして交際間近だった二人は、ついに結婚……とは程遠く、５年たった今でもまだお付き合いもしていません。
それと言うのも慶次郎がヘタレすぎて、告白できずにいるせい。お前は５年も何をやってたんだー！

だけど友達付き合いはまだ続いていて、慶次郎の神社によく出入りしている葉月。
慶次郎の使役する式神からは、若女将なんて呼ばれちゃっていますけど、今回はそんな葉月を狙う恐ろしい敵が現れるのです。
その恐ろしい敵と言うのは……神社の近所に住んでるオバチャンです。

何が恐ろしい敵だ、オバチャンに何ができる、なんて思ってはいせません。
実はこのオバチャン、慶次郎のファン。あのヘタレ陰陽師は顔だけはいいですから、この人はメロメロってなっちゃってるのですよ。
しかし、そんな慶次郎の所に若女将なんて名のる女が現れたからさあ大変。この女はきっと悪いやつで、慶次郎は騙されてるに違いないと勝手に思い込む、迷惑なオバチャンなのです。
ほら、恐ろしいでしょ。こんなのが近所に住んでると思うと、相当怖いですよ。

この厄介な敵は葉月に何をしてくるのか。
そして５年もお預けになっている慶次郎からの告白は、本作では動いてくれるのか。
ハラハラドキドキのヘタレ陰陽師物語です。

あのヘタレ陰陽師が帰ってきた！
このシリーズ、どういう話かと言いますと、本作のヒーロー慶次郎は、かの安倍晴明レベルと言われるくらいの天才陰陽師。ただし、どうしようもなくヘタレです。
責められるとすぐにベソをかくくらいの弱メンタル。そのため、主人公の葉月とは両思いなのですが、いつまでたっても告白できませんでした。

そして、本作はそれから5年後。そう、5年後なのです。いつまでたっても告白できないまま、5年がたってしまったのです。
いやいや、いくらなんでも長すぎでしょう。それだけ経ってまだ告白すらないなら普通は脈なしだよ。脈ありなら何やってるんだよ。そんなツッコミをする方もいるでしょう。
しかしご安心ください。主人公の葉月はツッコミ達人。ちゃんと、その辺は心の中でしっかりツッこんでいます。
えっ、そんな問題じゃない？ ですよね。

しかし、葉月にふりかかる災難は、いつまでたっても告白されないことだけではありません。なんと今回、彼女は慶次郎の近所の奥さんから呪いをかけられることに。

葉月はツッコミは激しいけれど、ごく普通の善良な一般人。そんな彼女がどうしてそんな目に。
しかし、その手のトラブルこそ陰陽師の専売特許。慶次郎がいいところを見せ、ついに告白できるか。
いやいや、そもそも5年も告白できないってのは、やっぱりないわ。呪いよりそっちの方がヤバいわ。
などなど、設定を聞いただけで、様々なご意見あることでしょう。

しかし、実際に葉月の生ツッコミや慶次郎の生ヘタレを見たら、より心が大きく動かされること間違いなしです。

呪いと、ある意味それ以上に難題な、彼女らの恋路。いったいどこに行き着くことになるか、しっかり見届けましょう。