重さ



で、とにかくは剣を振ってみないと


スキルとやらは解放されんだろ

俺は腰から剣を引き抜こうと試みた


抜けん

巫山戯てなどいない、マジで固くて抜けんのだ


確かにこのぐらいに固く仕舞われていなければ抜け落ちてしまうのは理解る。それにしてもだ


抜けない……ぐぬぬ

おりゃ!


何とか抜けた。視線の先にぎらんと輝いた

切先がある。これぞファンタジーって感じ


後はこれを振りまくれば……とりあえず上に

あ、上がらん!持ち上がらん!!

重い、重すぎる。下に刃先が自然と下がってしまう。腕が震えてばかりいる

考えてみたら俺は齢十の子供なのだ、しかし

だからと言って振る事すら出来ねぇのかよ


ちぇ、剣はまだ無理か

……ちょっと待てよ、無理じゃダメだ

ここは剣で戦う系のVRMMOなはず

拳で戦うって選択肢はまあ想定されてないだろう。しかも、十歳の武術だ

そんなもんが役に立つ様なビジョンはねぇ


だから剣を……握らないと!ふぎいっ!!

重すぎだろっマジで……さっきから剣が落ち込んでばかりで気分を上げてくれんぜ!!

でもどうにか上に……上に……上がった!

頭上まで上がったらこれをもう一度下に!

ぬああああ!!


何とか上に持ち上げられたものの、振る事は叶わず俺はバランスを崩し、草原に倒れ込んだ


手を離すと、剣はふかふかのベットに沈んでいきやがった。なんつー重さだよ

筋トレ……するか。余りにも高い空を見上げながら俺はそう決意した




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