第2話
「お…わったぁ〜!今日めっちゃ集中できたな〜!まさか今日中に終わるとはな〜」
あれから遼太郎は、一度も休憩を取らずに、業務に取り組み、Tに押し付けられたせいで進んでいなかった自分の業務を終わらせていた。
遼太郎は伸びをしながら、時計を見た。
「何時かな…ってまだ17時!?すごいな、結構量あったんだけどな。なんか突然頭が良くなったみたいだ。まぁそんなわけないけど。折角だし映画でも観て帰ろうかな」
遼太郎は、昔からミステリ好きで、推理小説やミステリ映画に目がなかった。
特に、大人から子供になってしまったメガネをかけた少年が活躍する某国民的探偵アニメは大好きであった。
「…お、I袋の映画館、18時上映の席がまだ空いてるな。これ観に行こう」
遼太郎はそそくさと片付けを済ませ、オフィスを後にした。
=====
(つ、つまんね〜〜〜〜。)
映画館で、映画鑑賞をしていた遼太郎は愕然としていた。
ストーリー自体は面白いし、作画も、声優も悪く無い。ただ、作中で使われているトリックだけが納得いかなかった。
いつもであれば、ギリギリまで考えないと犯人が誰かわからないのに、今回は殺人が起きてものの数分で犯人もトリックもわかってしまったのだった。
(まじか〜〜〜。こんなバレバレなトリック使われちゃったら、誰が観ても犯人わかっちゃうじゃんか〜〜〜。緊張感ね〜〜〜。)
チラリと他の席に座っていた小学生の子供とその保護者に目を向けると、2人してスクリーンを真剣に観ていた。
(子供とか推理小説とかあんまり読まない人だと、楽しめるのかな…まぁ推理は諦めてストーリーを楽しもう)
遼太郎は諦めて最後まで映画を見たが、犯人もトリックも、完全に遼太郎の予想通りであった。
また、推理がわかってしまったせいか、先を読めてしまいストーリーの楽しさも半減してしまった感じがあった。
=====
「なんか不完全燃焼だったなー。明日休みになったし、推理小説でも買って帰るか。」
遼太郎は遅くまで空いている本屋に立ち寄り、最近話題の推理小説を2冊ほど購入した。
自宅にたどり着くと、今朝一口だけ齧った例のりんごがテーブルの上にあるのが目に入った。
「そういえば、今日って、このりんごと映画館で食べたポップコーンしか食べてないのか…。気がついっちゃたらお腹空いてきたな。買い物しにいくのめんどくさいし、このりんご食べよ」
遼太郎はりんごを食べながら、推理小説を読み始めたが、トリックが序盤で解けてしまったので、普段よりも早く読めてしまい、ほんの3時間ほどで2冊とも読了してしまったのだった。
バイアップル かきぴー @kafka722
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。バイアップルの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます