第16話 消えない色

結菜は全治3日と診断された。

というかバットで思いっきり殴られたのに全治3日かよ、と思ってしまう。

信じられない体力である。


島子に関してだが此方は西田に暴行を受けていたが軽傷だった。

此方も物凄い体力だとは思う。

少なくとも結菜よりかはマシかと思う。


俺達に関しては病院から退院出来た。

特に傷も無かったので、だ。

優の置き土産としては最低最悪な感じだった。


俺達は院内を歩いていた。

優樹菜と一緒に、であるが。

それからドアをノックしてから結菜の病室に入る。


「結菜。調子はどうだ」


「.....うん。全然大丈夫だよ」


「最悪でしたね。今回は」


「まあこういう事もあるだろうしね。全然大丈夫だよ」


こういう事、で済む問題かね。

思いながら結菜を見る。

結菜は包帯の頭で外を見ながら、西田の言う通りだね。.....私は人殺しかもしれないね、と言ってくる。


俺はその言葉に、いや、と言った瞬間。

ドアが開いた。

そして意外な人物が顔を見せる。

それは島子だった。


「結菜」


「.....島子。どうしたの?」


「.....」


「.....島子?」


「私、誤解していた」


「.....何を?」


島子は涙を浮かべる。

そしてその涙を拭いながら、私は貴方を誤解していたかもしれない、と言ってくる。

俺は、!、と思いながら島子を見る。

島子は、貴方は全力で色々なものを救っていたんだね、と言ってくる。


「.....彼女達の。貴方の姿を見ていて思った。.....誤解していた」


「.....島子.....」


「私は何も目に入ってなかった。それは死んだ仲間を想って。だけど今回は思った。そっか。私が悪いんだって」


「.....悪くない」


「え?」


「これは当たり前の事をしているだけだよ。.....私が貴方を救ったのもこれは当たり前。.....貴方がそんなに悩む必要無いよ」


「.....」


涙を浮かべて拭う島子。

俺はその姿を見ながら笑みを浮かべる。

相変わらずだな結菜は。

思いながら俺は2人を見る。


「まあ.....今回は非も貴方にはあったかもしれないけど。でも私は思うよ。.....島子が生きていて良かったって」


「何で結菜はそんな感じ.....」


「私は確かに色々と恨みがあったけど。.....だけ慈愛を持つ事が一番だって気が付いた。.....それを教えてくれた人達が居る。だから私は今は愛を持って接するよ。全てにおいてね」


「.....優しすぎるけど.....でも。.....そうなのかな」


「私はヘッドじゃない。.....だけど今もみんなのヘッドだって思っている。.....今は平穏が無いかもだけどいつかは必ず平穏が来ると思ってやっている」


「.....」


確かに結菜は優しすぎるかもしれないけど。

時に厳しく時に優しい。

だから思う。

俺は結菜と友人で良かったな、と。

考えながら見ていると。


「結菜」


「.....何?島子」


「.....私、貴方が好きかもしれない」


「.....うんうん.....す.....え?」


結菜は目をパチクリして素っ頓狂な声を発する。

そして俺達も唖然としながらその姿を見る。

すると島子は赤くなってからそのまま退散して行く。

俺はその姿を見送ってから結菜を見る。

結菜も唖然としていた。


「え?好きってどういうの?」


「それはまあ.....愛じゃないか?」


「.....愛?え.....でも私はそんな愛は無いけど.....」


いやお前じゃない。

俺達は思いながら結菜を見る。

優樹菜も苦笑いで反応する。

そして俺達は暫く会話をしてから。

そのまま家に帰った。



「うーん。凄いね」


「そうだな.....何でや、って感じだが」


そんな会話をしながら俺達は歩いて帰る。

そうしていると嫁子が目の前からケーキの箱を持って歩いて来た。

俺たちを見ながらハッとする。

そして、もしかしてもう行った?、と聞いてくる。


「ああ。そうだな。ちょっと行って来た」


「あちゃー。そうなんだね。.....一緒にケーキ食べようって思ったんだけど」


「いやいや。お金使うなよお前。ただでさえ治療費が.....」


「.....まあまあ。今回は特別だからね」


そう言いながら嫁子は優樹菜を見る。

優樹菜ちゃん。結菜、どうだった?、と聞いてくる。

そんな優樹菜は、はい。取り敢えずは元気そうでした、と答える。

それから、そっか。.....まあ一応持って行こうかな、と笑みを浮かべる。

俺は、そうだな。まあ持って行ってやれ、と柔和になる。


「後で裕の家にもケーキ持って行くから」


「まあ全部食べれないだろうしな。.....無理はすんなよ」


「うん。まあ無理はしないよ」


「.....」


俺はその顔を見る。

すると、今回の件で.....結菜が抱えている闇を知った、と話した。

俺はその言葉に、!、と反応する。

それから、そうだな.....、と答える。


「.....半分、抱えていこうと思う。それが私に出来る精一杯の事だろうけど」


「.....俺も抱えるよ。それ」


「でも裕.....」


「俺が抱えたいって言ったからにはやるぞ」


「.....そっか」


そして明るくなる嫁子。

俺はその姿を見ながら、だから俺達で背負おう、と言ってから俺は空を見上げる。

もう直ぐクラスマッチだ。

戻ってくれば良いけどな結菜が。

そう思いながら2人を見る。

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俺の幼馴染の彼女を俺の友人が奪ったので俺としては..... アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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