第15話 calling

何か知らないが島子が誘拐されたみたいで。

俺達は結菜を追ってからそのままやって来た。

その場所は廃ビルだ。

丁度.....2階建て、であるが。


「.....ね、ねえ。裕。ちょっと怖くない?」


「正直言って怖いな。.....だけど結菜がここに入ったから」


そんな事をヒソヒソ声で話しながらスマホのライトで周りを照らす。

この場所に結菜が入って行った。

俺達は探す為に中に入った.....がガラスの破片とかが散っている。

そして周りを見渡す。

何というか街中に赤色灯が見える。


通報した警察ももう直ぐ来るであろう。

思いながら俺達は結菜を探す。

すると、ガァンと、ぐ!、と声と音がした。

それからドサッと何かが崩れ落ちる音も。

今のは.....まさか。


「結菜!」


「待って裕!」


それからやって来るとそこに島子が事務椅子に縛られて気絶して囚われており。

そして後頭部から血を流して地面に結菜が倒れていた。

更に言うなら木製バットを持っている.....つまり西田が立っている。

俺達を見ながら、あれ?、と言う。

背後から襲ったのかコイツは。


「.....誰?」


「.....そこに倒れている女子の知り合いだ。.....西田。もう無理だ。警察が来るぞもう直ぐ。諦めて降参しろ!」


「へえ.....知り合いなんだ.....コイツの命が惜しい?」


バットで肩を叩きながら地面に倒れている結菜の手を靴で押し潰した。

テメェ!!!!!、と言いながら俺は言うと。

西田は、何でコイツと付き合っているの?コイツは人殺しの不良なんだけど?、と俺に聞いてくる。

俺達はその言葉に顔を見合わせる。


「確かにそうだね。.....結菜は非道かもしれない。.....だけど私達にとってはそれでも大切な幼馴染。そんな事は止めてほしい」


「.....意味分かんない。コイツは人殺しだよ?」


「確かに人殺しではあるかもしれない。.....救われる筈の命が消えた。.....だが結菜は全力の配慮をした。今殴られていいわけが無いんだ。というかこんな事をしている時点でお前も大概人殺しだけどな」


西田の眉が上がる。

それから怒りの感じを見せる。

すると周りから10人ぐらいの人間が出て来た。


おいコラ。うちのヘッドをバカにしたな?、と言いながら、であるが。

バット、角材、木刀。

色々持っている。

嫁子が不安になったのだろう周りを見渡す。


「ぶっ殺してやる」


「この野郎」


そんな言葉が聞こえる。

マズイなこれ、とは思う。

他の人間の気配がしなかったから良かったと思ったが。

駄目だったな.....。

と思っていると1人の入り口付近の人間が跪いた。


「ぐあ!」


と締め上げられた様な人間の声で、だ。

それから多数の人間が現れる。

それは.....レッドピースのメンバーの様だった。

俺は、!、と思いながら見る。

その数.....20人ぐらい。


「.....!」


「助けに来ました。ヘッドがスマホで私達に、待機しておいてほしい、って言いましたけど.....何か危ないと思いましたから」


それにしても格好良いっすね旦那。

そして姉さん、と手前の2人が俺達に笑みを浮かべて言う。

それから厳つい顔になる。

予想外の数に驚かされたのか西田がビックリしている。


「そんな.....何であの時より増えているんだ!?」


「ヘッドの権力舐めんな。西田。お前達はまだ弱小だろチームが」


「.....」


西田は歯を食いしばった。

そして、かかれ!、と命令する。

それからその命令に従う.....事が無かった。

寧ろ強いチームのメンバーが増えたせいか。

命令に従う奴が居なかった。


「し、しかし西田さん。コイツらめっちゃ強いって有名.....」


「お、お前ら!逃げるな!」


西田が逃げる奴らを見て汗をかいて慌てる。

そして西田は何を思ったかバットで、クソッ!、と言いながら地面に倒れている結菜にバットを振り翳して殺そうとする。

するとその事に物凄い勢いで走って手前の仲間が動く。

それから木刀でバットを吹っ飛ばして喉元に木刀を突きつけた。


「お前はあくまでクズ以下だよ。.....ヘッドも許されないかもしれないがお前の場合は地獄に堕ちるべきだ。.....こんな汚い事しか出来ないなら尚更な」


「同じだろ!お前らの崇めているヘッドも人を殺しただろうが!」


「同じじゃないよ。アタシ達のヘッドはあくまで(助けられなかった)んだから。だがお前は助けられなかったんじゃない。助けようとしてないじゃないか。全てを」


「.....」


崩れ落ちる西田。

それから見ていると、ねえ旦那、と声がした。

そうしてから顔を上げるレッドピースのメンバー。

警察のサイレンが近付いて来ている。

そしてレッドピースのメンバーは頭を下げた。


「レッドピースとしてお願いです。.....ヘッドを最後まで見守って下さい。アタシ達には見守れないので。そんな資格も権利も無いですから」


「.....!」


「私達は.....薄汚れているので。全部が」


救急車の音も聞こえてきた。

それから合わせて30人近くの俺達は。

聴取を受けた。


そして結菜は病院に運ばれる。

島子も念の為に運ばれる。

俺達も運ばれた。

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