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青いバック

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 世界の灯りが消えたのは何年も前のこと。煌々と光っていた日本の夜の灯りは、飛来した石によって壊滅状態に追い込まれた。火に囲まれ、誰もが助けを求めて神に祈った。


 助けて、お願い、助けて、お願い。皆が一心となって空に願いを届けようとするけど、星達は点と点を繋げて輝くだけで燃えゆく町をただ眺めているだけだった。


 愛する者はいなくなり、帰る場所も失った人々は強奪を繰り返し、時にはその手を血で染めた。制止するものはいない。誰もが自分のことで手一杯で、他人に構うリソースなんてありはしなかった。


 政府はあるにはあるがほぼ無いに等しい。石が飛来したことにより中枢だった人間はみな息絶え機能は停止したようなもの。この無法は突如して訪れ、もたらしたのは残酷な現実だった。


 諸外国はこの日本を見捨てた。助けようとした何カ国の国は、自分の目で見たこの惨状を手遅れだと判断した。そして、追い打ちをかけるように訪れた者が帰国してから一週間足らずで奇病を発症し、日本は天国の国から一転し悪魔の国へと変貌していった。


 誰もが咽び泣く中立ち上がる者は必ずとしている。救いの手を伸ばそうと「誠」の旗を掲げた新撰組の真似事が人々を助けようと奮起した。だが、現実は甘くなかった。「誠」の旗は救いの手を差し伸べ、助けられた人々によって滅ぼされた。目の前にある食料、そして安寧と自由、一時の幻覚が彼らを惑わせた。このまま自分が乗っ取ればずっと安寧と自由を得られるのではないかと錯覚させた。


 略奪者にチームを運営することなんて不可能だ。自由も安寧も消え失せ、結局舞い戻ったのは混沌とした自由な世界だけだった。


 絶望に打ちひしがれた「誠」の旗を手に取った男がいた。その男は自らをこう名乗った「我こそは新撰組局長。近藤勇」と。


 周りの人らは馬鹿にした。けど彼は近藤勇は前を向き続け「誠」の旗を掲げ続けた。


「ねえ、なんでその旗掲げ続けてるの?」


「いつか心の点と点が繋がるように、この助けを求めてる世界にありがとうと愛してるをまた言えるように俺は誠の旗を掲げるんだ。これは人間の心でもあるからな」


 旗を風になびかせながら近藤勇はそう語る。彼はこれからもずっと「誠」の旗を掲げ続けるだろう。この腐敗した日本にまたありがとうと愛してるを言うために。

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