第2話 誰かの視線を感じる!?

さっきから、俺は誰かの視線を感じていた。

それは敵なのか、味方なのか?

俺を支えて、立たせているものは一体誰なのか?

ただえることは、俺の体は抱き合った状態で、そいつと密着しているということだ。


ムシャ………

現状把握に当てた神経を中断し、俺は全神経を解放した。

これ以上は持たなかった。

神経を集中すると、全身から収集される激痛も、ストレートに俺の脳へ飛び込んでくる。その激痛に、俺は再び気を失い掛けていた。

ここで、神経を遮断しなければ、俺の神経が持たなかった。

それに俺には考えがあった。ここで神経の充電をして、次に行う実験に………。


ムシャ………

俺は全神経を使って、ある実験を試みることにした。

この実験は意識を取り戻した時に、既に頭に浮かんでいたが、ここまで先延ばしにしたことには、れっきとした理由があった。

もしも、目の見えない状態で、すぐにこれを実行していたら、再び気を失わされる可能性が高かった。だからその前に、俺はできるだけ情報を収集することに専念した。

しかし、ここまできたら、そんな悠長なことは云ってはいられなかった。

説破詰まっている。限界が近い。意識が遠くなり掛けてきていた。


先ほどの現状把握から、俺は縛られてはいないようである。

俺は、それを実行する前に、自分の体の中で機能する部分の確認を試みた。


ムシャ………

まずは、首を動かしてみた。………動いた。しかし目は開かない。

首から上がついているのか、麻痺まひしていて分からない。


口は?………そうだ口がある。

俺は僅かに口を開いてみた。………開いた。口も健在である。

何かあったら、相手にみつく抵抗くらいはできそうだ。


僅かだが、さっきから異様な音も連続的に聞こえている。

ということは、耳も、機能は低下しているが健在である。

………良かった。


ムシャ………

次に足だ。俺は右足を動かしてみた。僅かだが足は動いた。左足は、………動いた。

足は何とか健在である。俺は、ほっと胸をなで下ろした。逃げられるかもしれない。

しかし、百メートルを10秒台で走り抜けることは不可能なようだ。

では、何かが襲ってきたら、走ることはできるのか?………俺は少し不安になった。


相手を蹴ることは?………それも無理なようである。

それに、さっき少し足を動かして気になったことがひとつある。

膝に、……膝に異様な感覚を感じた。

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