ネタツイのいいねの数で威力が決まる世界

青西瓜(伊藤テル)

ネタツイのいいねの数で威力が決まる世界

・【ポチ】


 ポチは老衰だった。

 僕の腕の中でゆっくりと息を引き取ったポチは安らかに眠りについた。

 大粒の涙が零れた。

 ポチが僕のたった一人の肉親だったから。

 僕の両親は早々にそれぞれ駆け落ちして、自宅でポチと二人っきりだったところを近所の人に保護してもらった。

 父親の妹夫婦である、早坂さんちに僕はポチと一緒に引き取られて生活することになった。

 早坂さんは共働きで忙しく、だからこそ子作りをしない選択をしていたわけで、僕にかまってくれる時間なんて無かった。

 とは言え、僕の生活費を出してくれたり、できないことの世話をしてくださったことはとても感謝している。

 でも、でもだ、ポチがいなくなった世界を僕は生きていく自信が無い。

 今日も小学校から帰って来て、鍵を開けて入り、リビングでボーッとしている。

 今まではポチが居てくれたから寂しくなかった。

 でももういない、いないんだ。

「僕の生活費、邪魔だよね」

 ポツリと呟いてしまった。

 そうだ、僕なんて邪魔なんだ。

 早坂さんにとって、僕なんていらない存在だ。

 いっそのこと死んでしまったほうがいいのでは、そう思ったその時だった。

 窓を叩く音がした。

 子供一人でいると周りに知られると、トラブルに巻き込まれるかもしれないからという教えで、カーテンは開けず、電気をさっさと付けると教えられていたので、そうしていたんだけども、窓を叩く音はどんどん大きくなっていく。

 ちょっと怖かったけども、相手が何なのか確認がしたかったので、相手にバレないように、カーテンの隙間から窓の外を覗くと、そこにはなんとポチがいたのだ!

 あの真っ白いイヌは間違いなくポチだ!

 僕はもう止まらなくなって、カーテンを開けて、窓を開けると僕の胸に向かってポチが飛び込んできたのだ!

 ポチを抱きしめて、

「ポチ! 久しぶり!」

 と声を上げてしまうと、ポチはするりと僕の腕から抜け出して、玄関のほうへ走っていった。

 僕は追いかけると、どうやらポチは外に出たいようであった。

 そう言えばいつも散歩を一緒にしていたなぁ、と思って、一旦リビングに戻って、窓の鍵を閉めてから、僕は鍵を持ってポチと玄関を出た。

 するとポチはさっさと走って、さっきの窓のほうの庭へ行った。

 そこから来たし、何かあるのかなと思って追いかけると、庭の奥に、緑色に光っているサークル状のゾーンがあった。

 まるでゲームのワープポイントのように。

 一体何なんだろうと呆然と見ていると、ポチがそこへ向かって走り出したので、

「ポチ!」

 と叫んでしまうと、ポチは一瞬こっちを振り返ってから、そのサークル状のゾーンの中に行くと、なんとそのまま消えてしまったのだ!

「ポチぃぃっ?」

 目を見開いて、驚いてしまった僕はその場に尻もちをついてしまった。

 せっかくポチに出会えたのに、ポチはもうどこかにいなくなってしまった。

 いや、あのサークル状のゾーンはまだある。

 僕もあの中に入れば、と思っていると、そのサークル状のゾーンは緑色に光っていたんだけども、黄色く点滅し始めた。

 もしかすると消えてしまうのでは、そう思った僕はまたポチに逢いたくて、そのサークル状のゾーンに飛び込んだ。

 その時、僕の視界が歪んだ。


・【異世界転移】


 気付いた時には、僕は農村のようなところについていた。

 なんというか限界集落みのある山奥の村といった感じ。

 僕の目の前には一人の男の子が石に座って、今いる丘から下のほうを眺めている感じだった。

 でも視線は思ったより手元っぽくって、何をしているんだろう、と気になって、後ろからゆっくり近付くと、その男の子はバッと振り返って、こう言った。

「俺の近くに敵の気配! バトルだな!」

 そう聞こえた刹那、僕と男の子を中心に、半径二十メートルくらいの範囲に白い光の壁が現れた。

 色と大きさが違うけども、まるでさっきのサークル状のゾーンのようだ。

 僕は慌てながら、

「バトルって何っ? どういうこと!」

 と言うと、その男の子が、

「そう言って油断させる気だろ! 勝負だ!」

 と叫んだところでその男の子も僕も何だかキラキラした光に一瞬包まれた。

 男の子は一旦僕と距離をとって、右手を天にかざして、こう言った。

「ファーストセット! いくぞ! 『伊勢海老だと思ったらサソリだった件について!』 いけぇ!」

 何言っているんだ、この男の子は。

 ボケたのだろうか、ボケたんだとしてもそのあとの『いけぇ!』って何なんだろうか、と思っていると、その男の子の周りに薄いハートマークが二個浮かんで消えたと思ったら、その男の子がサソリのようなモノを右手に持った。そのサソリは突然出現した。

 サソリで攻撃される……! と思っていると、その男の子は、

「情けは無用だぜ! オマエもファーストセットしな!」

 と言ってきて、ファーストセットって何なんだ、と思いつつも、その男の子の真似をして右手を天にかざすと、

「おい! オマエも天の子スタイルか! やるな!」

 と言ってきた男の子。

 いやもう全然知らない知らない、何が何やらといった感じだ。

 というか、えっと、ボケればいいの? それとも何でもいいの?

 僕はボケとかやったことないから分からないなぁ、と思った時、ふと僕はポチのことが頭に浮かんだ。

 そうだ、僕はポチに逢いに来たんだ、だからそう。

「僕は『ポチに逢いたい!』」

 と叫ぶと、何か男の子の時よりも色の濃いハートマークがどんどん出現してきて、何だ何だと思っていると、その男の子が膝から崩れ落ちながら、

「チート野郎だ……」

 と絶望している表情をした。

 ハートマーク祭りが止まったところで、なんと僕の目の前にポチが出現したのだ。ただ何かちょっと大きい。ポチは小型犬なのに、大型犬というか、体長・百四十センチくらいある。

 そのポチ似のデカいイヌが僕のほうを見ながら、こう言った。

「ユースケ! 僕に乗って!」

 ユースケは僕の名前だ……やっぱりポチなのか、僕の名前を知っているということはポチなのかっ?

「ユースケが僕を召喚してくれたんだよ! だから力になるよ! 乗って乗って! ほらユースケは一度小さな子供の時に乗れるかどうか試したことあったでしょ! その時のようにはならないよ! しっかりまたいで乗ってね!」

 すごい饒舌だし、このエピソードは僕とポチと早坂さんしか知らないはず。じゃあ本当にポチなのか?

 ポチは乗りやすいように、地面にぺったりとしてくれていたので、僕はまたいで乗った。

 男の子はぶるぶる震えながらも、

「まだだ、まだなんだよ! いいねの数で決まるのは威力だけ! あとはこの武器で逆転してやるからな!」

 と言って立ち上がろうとしたその時に、ポチが全速力で男の子に向かって走り出して、

「ポチパンチ!」

 と言ってその男の子に向かってダッシュパンチを喰らわせると、

「あひー!」

 と男の子が言って、ぶっ飛んで白い光の壁に当たって、ゆっくりと、まるで光の壁に粘着質のモノが付いていたかのようにゆっくり地面に落ちてきた。

 すると白い光の壁が消えて、男の子から何か光る金貨がドロップされた。

 それを指差しながら、またポチは平たくなって降りやすくしてくれて、

「ささ! ユースケ、あれを拾って!」

「えっ? 何か魂みたいなもんじゃないの!」

「違うよ! バトルポイントだよ! これを集めるとバトルフィールドに参加できるんだ!」

「いや分かんないよ! さっきから! 一体何を言っているのっ? この世界は夢なのっ?」

 と声を荒らげてしまったところで、男の子がむくりと顔を上げてから、

「このバトルポイントは獲られても別に何も起きない。でもそうか、俺はやっぱりまだまだザコということか……」

「どういうこと?」

「バトルポイントは強いヤツほど多く落とすんだ。今、俺は一枚しか落としていない。つまり最底辺ということさ」

「えっと……さっきから本当に何を言っているの?」

 と僕は小首を傾げると、男の子が何かに気付いた顔をしてから、

「もしかするとオマエは! 異世界転移子か!」

 と声を上げた。

 異世界転移子……異世界転移してきた子ということ? ということは、

「ここは異世界……?」

「いやここは元々俺がいる世界だから、オマエが異世界からこの世界にやって来たんだろ」

「しっかり正しいことを言われてしまったけども、えっと、僕、この世界に来たばかりで何も知らないんだ。だから何か教えてくれないかな」

 男の子は呆然というか固まっている、まあ突然言われて困惑しているんだろうな、と思っていると、

「よしっ! 教えてやるし、俺の家にも泊めてやるし、何でもやってやる! だけど条件がある! 俺のバディになれ! ダブルバトルは必ず俺と組んでくれ!」

 そう言って手を差し伸ばしてきた男の子。

 さっきから何を言っているかイマイチ分からないんだけども、まあ多分さっきみたいなバトルのチームバトルみたいなことがあるんだろう。

 僕としては教えてほしいし、家とかも本当にどうにかしたい、だから断る理由が無いので、

「分かりました。これからよろしくね」

 と言って手を握り返して握手すると、

「やったぜー! チート野郎と手を組んで無双だぁ!」

 と両手バンザイしたので、僕も一緒に手を挙げることになった。さらに近くへ引き寄せられた。腕力はあるんだなぁ。

「じゃあ早速この世界について何でも教えるぜ! そしてバトル大会に一緒に出てさ! チャンピオン目指そうぜ!」

 何が何やら分からないけども、まあポチがいる世界ならと思っていると、ポチが僕に向かって手を振りながら、

「じゃあまた召喚してね!」

 と言って消えていったので、

「ポチぃぃいいいい!」

 と叫んでしまうと、その男の子が、

「いやバトルフィールドが終わったのに、まだいたって逆にすごいことだからな。それだけオマエが強力だって話だけどさ。まあまたバトルの時に召喚すればいいんじゃね?」

 と言った。

 そうか、まあ一応ポチにはまた逢えるみたいだ。また召喚してね、とも言っていたし。

 それよりもまずこの世界のことをこの男の子から聞きださないと。


・【この世界について】


「ほら俺はさ、優秀だからさ、聞きたいこと全部聞いていいし、全然果物とかも収穫してあげるし、子守歌とかも全然歌えるしさ」

「すごいところまでやってくれようとしてくれるけども、どうして?」

「ドキーン! そ! それは勿論! 全裸! じゃなくて! 善意待機さ!」

 多分だし、よく分からないけども、僕はバトルが強いんだと思う。

 だからチームを組めたことが嬉しいんだろうけども、まあバトルの話は後にして、まず、

「君の名前を教えてよ、僕はユースケ、十一歳だよ」

「俺はタチオ、奇遇だな、俺も本当に十一歳だよ」

「本当にって、別に疑ってはいないけども、何で僕たちって会話できているのかな」

「異世界転移子は皆それを言います」

 そう、急に敬語でうんうん頷きながら言ったタチオ。

 というか、

「皆って異世界転移してくる子って多いの?」

「多いよ、この世界はもう当たり前になってるから誰も希少性を見出していないぜ。でもまあこんだけ強いのは珍しいな……」

 そう言って僕のことをまじまじ見始めたタチオ。

 僕はちゃんと聞きたいことを改めて聞くことにした。

「言語が違うはずじゃない、世界が違えば文化が違うはずだから。何で会話できているのかな?」

「それはな、この世界の文字も言葉も、自分のいた世界の言葉に変換して聞こえたり見えたりするから、自分のいた世界にしかない言葉でも、そう自分で、脳内で変換するんだ」

「だからタチオから伊勢海老って言葉が聞こえたんだ、でも今僕が伊勢海老って言ってもタチオには伊勢海老じゃなくて別の海老の名前が聞こえているわけだね」

「ん? まあそうだな、いや俺には伊勢海老とかしか聞こえないが」

 確かに僕のほうこそ伊勢海老としか聞こえない。

 まあ言語のことは一応このくらいでいいや。

 何で? とも思うけども、そこを詳しく掘っていってもしょうがないような気がする。そうなっているんだから、そうなんだろう。酸素とかと一緒だ。

「さっきのバトルについて詳しく教えてもらっていいかな?」

 そう、バトル。

 何だか流れでいろいろやったけども、全然分からなかった。

 でもこの世界ではこのバトルが重要そうだから。ポチともまた逢いたいし。

「オマエ、本当にバトルのこと何も知らないまま俺に勝ったんだな、すげぇ才能だぜ……」

 そう生唾をゴクリと飲み込んだタチオ。

 いやでもタチオは何かさっき自分のことが弱いって、金貨の時に言っていたけども。まあいいか。

「バトルフィールドから順に教えてほしいんだ」

「OK、まず自分のパーソナルエリアに近付いた相手にはこっちからバトルを仕掛けることができる。その三秒以内に仕掛けられた側が拒否をすればバトル不成立。バトルにはならない」

「じゃあその時、僕が拒否しなかったということだね」

「そうだな、何が何だか分からず、バトルが成立してしまったってところじゃないか?」

「そうかもしれない」

 そう頷いた僕。

 タチオは話を続ける。

「バトルは仕掛けたほうからファーストセットを行なう。まあ大体ファーストセットで勝負がつくけどな。俺の場合は。それはまあ俺が弱いからだけどさ……」

 そう言って急に肩を落としたタチオ。

 いやいや、

「多分だけども強くなるすべみたいなことがあるはずだから、一緒に考えていこうよっ」

「……心の友よー!」

 そう言って抱きついてきたタチオ。

 例のジャイアンみたいなこと言うなぁ。

 僕は優しく背中を抱きしめるように叩くと、嬉しそうに顔を上げて、一旦離れたタチオ。目がめっちゃ輝いていた。

 一息ついてから、また説明を再開した。

「セットでは、自分の武器をセットするためにネタツイを行なうんだ。例を挙げるなら『伊勢海老だと思ったらサソリだった件について!』とかだな」

「……ネタツイ……?」

「あっ、ちゃんと変換できていないっぽい? 訳の分からない言葉はそのままカタカナで聞こえるらしいからなぁ、ネタツイの説明をまずしないといけないか。ネタツイとはSNSで行なわれるボケている啄み(ついばみ)で、あっ、啄みというのがいっちょかみみたいな感じで、一言居士というか、余計な一言という意味のSNSなんだけども、まあとにかく短文で言葉を発せられるSNSがあって、そのSNSでボケを行なう行為をネタツイって言うんだ」

 いやネタツイは知っている。

 例の青い鳥のSNSでボケる行為のことだ。ネタのツイート(呟き)という意味だ。こっちの異世界では短文で言葉を発することをツイートじゃなくて啄みと言うわけか。

 余計な一言を啄むように、ちょっとする、というようなイメージなんだろうな。

「うん、理解できたよ、ありがとう」

「おう! 話が早いな! ユースケは!」

 そう言って満面の笑みをしたタチオ。

 いやでも正直ネタツイの意味は分かったんだけども、ネタツイをする意味が分からない。

 話を聞いていけば分かるのだろうか。

「で、ネタツイをすると空気中のいいねを吸収して、それが威力になるんだ。ほら、ハートマーク出てきただろ? それが空気中のいいねだよ」

「空気中のいいねって、その、誰がいいねボタン押してるの?」

「それはマナじゃない? マナって言われてるよ、何か、魔法の空気みたいな感じ」

「えっと、じゃあ魔法の精霊がいいねボタンを押しているということ?」

「そういう言い方をする人もいる」

 魔法の精霊がいいねボタンを押して、そのネタツイの面白さで威力が決まるということかな。

 タチオは小首を傾げながら、

「でもさ、ユースケのヤツってネタツイじゃなかったよな、でも威力すごかったんだけども、何でだろうな」

「もしかするとネタツイだけじゃないんじゃないの? 僕のエモーショナルな気持ちが刺さったんじゃないかな」

「エモーショナルな気持ちか……考えたことなかったな……この世界の啄みSNSってネタツイが基本だからな……」

「もしかしたら魔法の精霊はネタツイ以外も好きなのかもしれないよ」

「試したことなかったな……観客にスベるのも怖いし、何言ってんだコイツってなるの、めちゃくちゃ嫌だし……」

「僕はポチという子犬に逢いたくて、その気持ちを、じゃあ啄んだってことだよね」

「……コイヌ……?」

 そう不可思議そうに僕のほうを見たタチオ。

 ふとさっきタチオが言った『訳の分からない言葉はそのままカタカナで聞こえるらしい』という言葉が浮かんだ。

「えっと、僕、可愛い動物に乗ったでしょ、あれが子犬、いや子犬というかもう大きな犬だったけども、犬ね、犬」

「イヌって言うのか、あの可愛いもふもふな生物は」

「えっ? この世界、犬いないの?」

「見ないかな、あういうの。もうちょっと牙があって目が鋭いヤツはいるけど、あんな優しそうな目の四つ足はいないかなぁ?」

「ということはポチの可愛さが魔法の精霊に刺さったのかな?」

「それもありえるな、だってあんな可愛い生物見たことないし」

 僕のエモーショナルな気持ちより、可愛い生物に見惚れられていいねを稼げたのかもしれない。実際僕側のSNSでも可愛い動物の映像って人気だったし。

 いやでも、

「僕が言葉で言っただけでいいねボタン押せるんだね、魔法の精霊は。僕の心の中とか見えているのかな?」

「いや? ファーストセットで発する言葉は人間にも見えるぞ。気付いていなかったのかもしれないけども、俺のネタツイの言葉も、ユースケのイヌというヤツも頭から吹き出しが出て画像が見えていたぞ。俺の場合は文字だけどな」

「そうなのっ? 気付かなかった!」

 僕は何その漫画的な感じだと驚いてしまった。

 この世界、本当になんというかギャグマンガみたいだなとは思った。

 タチオは驚いている僕を興味深そうに見ながらも、

「じゃあ続きな、で、ネタツイの中で出た言葉が具現化されて、自分の武器としてファーストセットを闘うんだ。ファーストセットは三十秒、セカンドセットは一分、サードセットは一分半と、まあ三十秒ずつ長くなっていく感じだな。ちなみに具現化された武器は持ち越しになって、どんどん足していくって感じだな。継ぎ足しのタレ!」

「ありがとう、大体分かったような気がするよ」

「そうか、飲み込みが早いな、ユースケは。俺が最初パパに聞いた時とか、全然理解できなかったけども」

「多分一回経験したからじゃないかな」

「なるほど、そうかもしれないな。というわけでユースケ、他に聞きたいことあったら何でも聞くし、全然水とかあげるし、俺はソファーで寝るし、ユースケがベッドでいいよ」

 いや!

「そんな尽くさなくていいよ!」

 と、ついデカい声が出てしまうと、

「良いツッコミだなぁ、ダブルバトルはそういう返信を使ってもいいから良いツッコミであることは本当に良いことだよ、ありがとう」

 と言って頭を下げた。

「違うよ、タチオ。いろいろ教えてくれて、もう寝床の話とかしてくれるタチオに僕は感謝しているんだよ」

 と深々と一礼すると、

「いいから! いいから! そういう堅苦しいの! それよりもまず俺の家で作戦会議しようぜ!」

 そう言ってタチオは丘を降りて、下にある家のほうへ走っていった。

 あの家がタチオの家みたいだ。

 周りは果樹園のように木にリンゴのような果物や、みかんのような果物が成っていた。

 僕はタチオの後ろをついていった。

 後ろから見るタチオのポケットの中は何だかスマホみたいな膨らみがあった。

 まあSNSとか言っていたし、この世界はスマホみたいなモノがあるのかもしれないなぁ。

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