社畜、河川敷でフェンリルを拾う〜街中だと目立つので、ダンジョンの中を散歩することにしたら迷惑系配信者が解き放ったSSSSモンスターを瞬殺して大バズりしちゃいました。ちなみにスパチャは全て餌代になります

第21話:フェンリル、ご馳走が美味すぎてとんでもない量をペロリと平らげる

「おお、届いたぞフィル！」

「ワンワンワンワンワンワンワンワンわんわんわん！！！」

　阿澄さんのお店で注文したフィルのご馳走が、夜の7時ぐらいにドローンで運ばれてきた。店のもの全て買っただけあって、めちゃくちゃな量が庭に並び始めた。

　おいおい、流石のフィルもこれを全て食べきれるのか？　流石に買いすぎてしまったかもしれないな……しまった。

「ワンワンワンワンワンワン！！！」

　でもフィルは庭にご馳走が並んでいるのを見てよだれを滝のように流しながら尻尾が今にもちぎれそうなぐらいブンブン振り回しては、「早く食わせろ！！！」と言わんばかりに俺の身体にペタペタと触ってくる。

　ああ、やっぱり俺の気にしすぎかもしれない。きっとフィルならこの量もペロリと平らげてしまうんだろうな。

———

「フィル今までにないぐらい興奮してて草」

「社畜、フィルに早くご馳走食わしてやれw」

「庭中にご馳走が並んでてて草」

「俺の夜ご飯より豪華で泣いた」

「おいおい、この量食べきれるのか？」

「フィルなら余裕だろ」

「間違いないなwww」

「フィルよだれたらしすぎてもうすぐ水たまりできそうで笑う」

「お腹ペコペコなフィルちゃん可愛いよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！！！」

———

　視聴者さんたちもフィルなら食べられるって思ってるみたいだ。まぁ、今までバカみたいにおやつあげてきたけど、残したことなんてなかったし。それにこの前の配信でへそくりをしていることもわかったからな。

「よし、フィル。ご飯食べていいぞ。俺も酒飲みながらお前の食べっぷりを堪能してやろう」

「ワンワンワン！」

「うわっ！？　す、すごい勢いだ……」

　今までのフィルもめちゃくちゃ食べるし、その速さもとんでもないものだった。でも今日は異次元の領域と言っていい。迅速のようにバクバクと料理を食べてはあっという間に量が減っていく。

　おいおい、もしかしてこの量ですらフィルには足りないっていうのか……！？　そ、底なしにもほどがあるぞフィルの胃袋。

———

「草」

「そりゃこの時のために昼も抜いてお腹ペコペコだもんなwwww」

「一心不乱に食べまくってて草」

「めちゃくちゃ幸せそうな顔してるじゃんフィルwww」

「社畜もこれぐらいのペースでお酒を飲もう！」

「そうだ社畜、フィルと競争してくれ！」

———

「いやいや、今のフィルに敵うわけがないですから！　というか……え、フィル。まさかもう食べ終わったの？」

「わん。くーん、くーん」

　俺がコメント欄を見ている最中、フィルはいつの間にか庭中にあったご馳走を全て平らげてしまったらしい。なんてことだ、フィルの底力を見せつけられてしまった気がする……。これ、視聴者さんたちのスパチャをもってしても、餌代足りないんじゃ……。

　それに、ご馳走が本当に美味しかったんだろう。フィルは甘えるような声を出しては俺にペタペタとくっついてくる。もしかしてお代わりを要求しているのか？　でも今日これ以上あげるわけにはいかないだろ流石に。

「ごめんなフィル。今日はこれでおしまいなんだ」

「くーん、くーん……」

　スリスリともふもふな身体を俺に擦り付けながら、フィルはじーっと俺を見て「お代わりちょうだい！！！」とひたすら純粋に訴えかけてくる。うっ……な、なんてやつだ。このままじゃ阿澄さんに電話してお代わり作ってくれませんかって頼んでしまいそうだ。

　だがそんなことすればきりがない。フィルのことだ、多分お代わり分もさらっと平らげるだろう。そしたらお金が……

「くーん、くーん………くーん」

「うっ……うう！」

　はっ！？　お、俺はスマホを持って何を！？　あ、危ない……危うく本当に電話するところだった。ん？　これは……。

———

「￥50,000 お代わりお送りしたので安心してください！　フィルちゃんにたらふく食べさせてあげましょう！！！」

「阿澄レナがスパチャ送ってるwwwww」

「こりゃフィルさん大感激ですわwwwwww」

「くーんくーん甘えるフィルが可愛すぎるのが悪いなこれ」

「フィルのおねだり強すぎワロタ」

「胃袋持つのか？」

「持つに決まってんだろフィルだぞ！！！」

「社畜、お前は餌代の心配なんかする必要はない」

———

「な、なんてご好意……あ、ありがとうございます！　って、もうきた！？」

「ワンワンワンワンワンワン！！！」

　フィルのやつ、ドローンを見た瞬間察したのか嬉しそうに跳ねたりしてる。おおっ、しかもまたすごい量……阿澄さんに今度直接お礼をいいに行かないとな。

「ほらフィル、ありがたいことにお代わりをいただいたぞ」

「ワンワン！」

　そして結局、フィルはお代わりすらあっという間に平らげてしまった。そして流石にお腹いっぱいになったのかグデーっと庭で寝そべりながら、「すう……すう……」と寝息を立てて寝始めてしまった。

　今日のフィルの寝顔、本当に満足しきった感じだ。でもよかった、フィルが心の底から満足してくれて。

　これからもよろしくな、フィル。

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