第8話


目が覚めた。低くて汚れた天井。

薄くて硬いせんべい布団、小さな窓、狭い部屋。

みそ汁の香り。温かい香り。


 あれから、いくつかの転移を繰り返した。

窓からスカイツリーが見える。どこだ。

ここが東京都下なら——

「もう少しでできるからね」

 台所から、声がする。ほっぺを真っ赤っかにした20歳前後の女の子が、一生懸命みそ汁を作っていた。大きめのシャツに、ショーツははいているが、ブラはしていない。昨晩は一緒だったらしい。

——きみはダレ?

女の子、声を上げて笑った。

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ここがヒルズなら、きみはヒマワリ @kumabetti

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