令和7年南東北聖地巡礼行(その2)

ここ浦佐駅では45分ほどの乗り換え時間があり、軽く歩いて時間調整をすることにした。


八海山口に立つ田中角栄首相の銅像は東北全域を視ているようですらあった。

ここでは昼食のおにぎりと給水用のお茶を仕入れ、これから望む4時間の旅に備える。


ここ浦佐駅は南魚沼市にあるので只見線の展示があり、2022年の10月1日に『11年越しで』復旧したことがどれほど嬉しかったか見て取れる。


在来線の改札から1番線へ下りるとスーツケースの旅行者がおり、乗る列車からして只見線に乗るであろうことが見て取れる。


六日町方向から来た列車が着いたのは12時46分。

乗り換える小出駅までの2駅を10分程度で走る。


着いたホームは1番線。

乗り換える只見線の気動車は離れた位置の4番線で平成1桁生まれの気動車を先頭にし、平成後半に作られたステンレスの気動車を増結した2両編成での運転だった。


因みに上越線列車の窓越しに見た時点で乗客がそこそこおり、席取り争いでは劣勢だった。


定刻の13時12分に5番線の気動車に見送られて発車。

しばらく魚沼の田んぼを望みつつ、高度を上げる。

エンジン音も低音になっているようで、これから会津国境へ臨むのである。


『魚沼の 田んぼを望む 只見線 今懐かしむ 「ヨスガノソラ」よ』


『ヨスガノソラ』自体は栃木県の足利市がロケ地で只見線とは縁もゆかりもない。

しかし、奥木染と同様の長閑さが広がっており、春日野兄妹が祖父の寝起きした地を頼ろうとした理由も腑に落ちようというもの。


この只見線を耳にしたのは子供の頃からで、当時は急行型を含む昭和生まれの気動車が現役で走っていた。


『小出駅 階段を駆け 乗りたるは 白と緑の 気動車なりや』

『只見線 フィギュアを連れて 乗りたるに あな哀しきや 呑兵衛多し』


上記の歌は只見線の列車内で詠んだ。

奇しくも濃淡を別にした緑の帯を引いた気動車でまとまっているあたり、この日は比較的ツイていた。

もっとも只見駅で停車時間を取るまでは、だが。

後の歌はまだ明るいのに飲酒している乗客がいることを嘆いている。


これでは仁藤夢乃さんの説く『キモいおじさん』に余計な信憑性を裏打ちしてしまうので、共産主義者や男性差別者に肩身の狭い想いを強いられているので苦いものがあった。

入広瀬に着いたのは13時45分。既に盆地から遠ざかり、山中の集落である。


『入広瀬 志学の頃は 「ピッチへ」と 今は哀しき 屈辱の時』

『兄弟子は 既に遠しと 過ぎたるに 今嘆きたる 「背番号遠し」と』

『急行の 停まりし駅と 聞きたるに 窓より見遣る 長閑たる集落』


これらの歌は列車内で詠んだ。

私にも『シュート!』の田仲俊彦君や久保嘉晴さん、『キャプテン翼』の大空翼君に憧れた少年時代があり、なおかつ彼らのようになるには力不足であり過ぎたことを伝えたい。


柿ノ木エリアを通過すると新潟県側で最後の停車駅となる大白川には13時55分に着く。

小さなペンションと間違える駅舎だが、ここには折り返し設備がある。


しかし、ここから次の只見駅まで六十里越えに臨むので、折り返し設備がないと運転上の支障が甚だしくなる。


大白川を出て只見に至るまでトンネルとシェルターが長いが、過去に田子倉という駅があった。

かつての急行『奥只見』も停車したが、単式ホームでシェルターの分、暗い。


只見駅に着いたのは14時25分。

ここで10分ほど停車するが、停車中にアクシデントが起き、会津宮下駅付近の倒木で運転できないという。


一応、会津川口駅までは定刻に走ることが決まったが、倒木の伐採作業で2時間から3時間の遅れを見込むという。


只見駅は只見線における重要な拠点で、只見線を4つに分割すると会津川口、只見、大白川の3駅で列車の密度が異なる。


一番濃密なのは会津若松から会津川口の区間で観光地や温泉が点在するので比較的列車本数が多い。


次に多いのが大白川から小出で、大白川から只見までも基本的には同等の本数だが大白川から只見までが県境なので、雪に見舞われると不通になりやすい。


一番問題なのは会津川口から只見までで、この区間はわずか3往復しか運転されていない。


つまり、会津川口から魚沼側の大白川までが運転上における『頭痛の種』である。

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二次元オタクの旅 越後浪人 @SadoSpa2645

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