私たち夫婦は、とある海外ドラマにハマっています。このドラマには、おぞましくも腐り果てた死体がギョーサン出てくるのですが、二人そろって顔をしかめながらも毎回見てしまうのです。
このレビュー表題の元ネタである映画も含め、数々のフィクションに描かれる死体の描写に、私たちが尽きせぬ興味を持ってしまう理由。それは「人はいつか死んでしまう」イコール「人はいつか死体になる」という諦観と恐怖が少なからずあるからだと私は思うのです。
この作品もまた、おぞましくも腐り果てた「社会的な死体」が主人公です。とてつもなく秀逸なキャラを産んだ作者さんに拍手を。吐き気がするほどキモチ悪い主人公なのに目が離せないのは、「私もいつかこうなってしまうのでは」という諦観と恐怖があるからだと私は思うのです。
「私はこの主人公とは絶対に違う」とお思いですか?
そもそも、カクヨムユーザーであるというだけで、サイトのトップの広告を見ただけで、「お前らってこの主人公と大差ないじゃん」という偏見を持つかたは少なくないと思うのです。残念ながら、その感覚は結構メジャーだと尻鳥は思うのです。それは、貴方自身がリアル知人にその趣味をなかなか明かせない理由だと思うのです。
そして、さらに。
あらゆる居場所……家庭、学校、会社、国は、そこに居る者に様々な権利を与えますが、権利の行使には等価の責任と能力が求められます。なのに、みずからの行動に見合わない量の不平を漏らしたりしていませんか。
親や配偶者と会話していますか。不必要な無視やマウントをしてはいませんか。他人が無償の優しさを発揮しても、「どうせ承認欲求だろ」と馬鹿にしてはいませんか。「ありがとう」「ごめんなさい」を言うと負けだと思っていませんか。
自作への評価を激しく乞いながら、いざ気に入らないレビューをされると星も消えるので削除せず、「いいね」も返さなかったりしていませんか。都合の悪い「応援コメント」は反論する手間より無視や削除を選んではいませんか。
そんなつもりはない。心では反省も感謝もしている。みんなやってることだ。忙しいからだ。恥ずかしいからだ。初心者だからだ。私にはそうする権利が無いとでもいうのか。私は悪くない。オラは悪くない。そう呟いてはいませんか。
もちろん、逆に極端な自責思考は自信喪失につながります。でも、他者を非難できるかたは、そうではありませんよね。
このレビューが読めている全ての心ある者よ、真実は貴方の胸の中にある。
私、老害である尻鳥は、自虐と自戒をこめて思うのです。
現代人である私たちは皆、「おぞましくも腐り果てた死体」へと向かう線路を歩いているのです。だからこそ、この作品には恐るべき魅力があるのだと思うのです。
怖いもの見たさの気持ちが強いかたと、自分自身への疑問を捨てきれないかたにお勧め。21読/21完にてレビュー。
人間の姿をしたおぞましい怪物に対して田中、父親がどう動くのか、ハラハラドキドキの物語
出てくる女性たちもみんな良い子であり守りたくなるような存在ばかりで登場人物全員が活き活きしていますね
彼らが連絡を取り合い束となって「敵」に立ち向かうのは爽快です
ただ気になったのが、順佑が妄想と現実の境がつかず天津姉妹を襲おうとしたシーンですが、実際にひきこもりがここまで積極的に動くかな…?と思った次第です
この手のタイプは自分よりでかくて元気な女性を見たら黙りこくると思います
勿論物語を面白くすることと、父親が順佑を放逐しない理由付け(ほっといたら女を襲う)のためとは思いますが…
拒絶された時の反応は妙にリアルではありました
個人的には「たまに外に出ては近所の高校を眺めている」という設定にしても良かったと思います
(追伸 小説の中で理由を説明いただきありがとうございます、腑に落ちました)
田中が順佑を気遣う理由もかなり不自然でというか、良いやつ過ぎます
博愛主義者というんでしょう、彼の生い立ちも気になりますね。
どこまでリアリティをもたせ、どこから現実離れさせるか、難しいところですね
ですが冒頭で述べたとおりハラハラドキドキはしますので、応援しております
例えこの小説が売れる、読まれることを二の次としたものであっても…