第6話 勝手なことすんな
「ここは」
鏡はレイラにとある部屋の前に連れて行かれた。目の前には黒い扉。どこかへと繋がっているようだが、隣にも扉があり何個か続いている。
「貴女の部屋よ」
「お前話聞いてたか!?あたしはここから出せって言ってんだよ!」
「この施設を出るには職員の許可が必要よ。貴女はもうこの施設で暮らすことになったのよ」
「何勝手なことしてくれてんだ!」
レイラは悪びれもなくそう言うと、鏡の言葉も聞かずに扉に手をかけて引く。
中は綺麗にシーツが整えられたベッド、飲み物を冷やす用の小さな冷蔵庫が置いてあるだけのシンプルな部屋だった。
「最初はベッドと冷蔵庫だけしか置いていないけど、後からタブレット用と貴女のスマホ用の充電器が来るわ。他の欲しいものはタブレットから申請すれば許可が下りると支給されるわ」
「気に入らねぇ……勝手にすんな」
バン、と扉を強く叩き苛立ちを発散させる。
「じゃあ、ごゆっくり」
そう言うとレイラは鏡のもとを離れて廊下を歩いていく。その背中を睨みつけながら鏡は部屋に入り、強く扉を閉める。
どこから出るか、鏡は部屋を見渡す。窓は一切なく、鏡は舌打ちをしてベッドに座り込む。
「出れねぇ……」
そう判断した鏡はベッドの上に寝転ぶ。ベッドは鏡を受け止めるように沈む。
「いいベッドだな……」
疲れが溜まっているのか、そう呟くと瞼をゆっくりと閉じて眠りに落ちた。
薄暗い部屋の中、壁に設置されたモニターの向こうに映る人物の前に立つレイラ。
『新しい魔法少女が来たんですね』
レイラと同じく黒いスーツに身を包み、目の上でぱっちりと黒髪を切りそろえている女は何か画面の下にあるものを見ながら伏し目がちに話す。
「ええ、魔法少女ブレイブ。かなりの素質があると思うわ」
『そうですか、貴女がそこまで言うのはあの子以来ですかね。えっと確か……』
思い出すように斜め上に目線を移す女。
「その話はあまりしてほしくないわね、記憶から消したいわ」
『消えないでしょー、なんせ
少し口の端を上げながら女は言う。
「……楽しそうね」
『いえいえ、大変ですよこちらも。色々と、まぁどうしてもっていうときは呼んでください。猫の手でよければお貸ししますよ』
「そうね、今すぐにでも貸してほしいけれど」
『あはは、まだまだこれからじゃないですか?前回みたいに■■■大陸が消えるまでは深刻化するでしょうね』
「ちょっと待って、今何大陸って言った?良く聞き取れなかったわ」
『……え?ちょ、ちょっと待ってください、■■■大陸ですよ?』
画面の向こうの女の表情が急変し、前のめりになり焦っているのか口調が速くなる。
「よくわからないわ、貴女頭おかしくなったんじゃないの?」
『そ、そんな……どうして私たちがこうやって戦っているのか覚えてないんですか?』
目を丸くして、明らかに動揺を隠せていない女の声が震える。
「どうしてって、世界を守るためよ」
『……』
モニターが消えて部屋は真っ暗になった。
「……変なやつ」
暗闇の中でそう呟いたレイラはモニターから背を向けて部屋を出ていった。
超魔法少女 反応 @takuan-takuan
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