第47話 2か所目3
~岩本優花side~
「おかしいな~。いない。」
天守閣跡から見える景色がよくて、しばらくの間見ていた。そして、もういいかな。と思って横を見ると遼太がいなくなっていた。仕方がないので探すことにした。だって、絶対に何か変なものを拾ってくると思うもん。遼太だしね。
というわけで、ふらふらと周囲を見回りながら探し始めた。
しばらく探しながら歩き回っていると困った顔で立っている由香ちゃんと友梨ちゃんを見つけた。
「お~い!由香ちゃん、友梨ちゃん。翔真たちは?」
とりあえず、聞いてみたが2人とも首を振りながら
「知らないよ。」
「どこか行っちゃったよ。」
と言われた。
「はあ、仕方がないなぁ~。探そうか。男子3人が行方不明というのは一番面倒なことだからね。」
「「分かった。」」
というわけで女子3人で男子3人を探すことにした。
探すことにして5分も経過しないうちに3人を見つけることはできた。見つけられた理由は簡単で、3人だけ他の人たちと全く雰囲気も違えば、非常に目立つものを持っていたからだ。
「はぁ~。手遅れだった。
2人ともちょっと待っててね。」
私はそういうと3人のもとに向かって走って行き、そのまま遼太に飛び蹴り(距離を見誤り、遼太のすぐ近くに着したので、その後に普通に蹴っただけ)をした。
すると3人は私の顔を見て私のことを指さしながら
「「「見つけた!」」」
と叫んだ。そして、私も
「うわぁぁぁぁぁぁぁ~!」
と叫んだ。
そんな私を見て翔真が不思議そうな顔で
「岩本は何に驚いているの?」
と聞いてきた。
「えっと……叫ばれたこと?」
私が首を傾げながら言うと翔真は笑いながら
「なんで疑問形?」
と聞いてきた。
そんなこと言われても私は色々なことに驚いて叫んだのだから仕方がないと思う。
驚いたこと1つ目は大きな声で叫ばれたこと。
驚いたこと2つ目は翔真が持っているヘビが遼太が体を横にずらしたことによって私の顔の前にいきなり出現したこと。そして、翔真たちが私を指さした時にさらに翔真の持っているヘビが私の顔に近づいてきたこと。
驚いたこと3つ目は健一郎がシカの角を持っているのは離れた場所からも確認できたが、接近するとさらに別でシカの頭蓋骨を持っていたこと。そして、これも翔真のヘビと同様に指さしとともに私の顔に向けて接近してきたこと。
の3つが私が叫んだ主な理由だ。そして、残念なことに今までの経験から1つ目以外の理由に関しては納得してくれる時と納得してくれない時があり、納得してもらえなかった場合にはきちんと説明をする必要がある。そうしないと男子3人でなんでだろう?と何時間でも悩み始めて、そうなると私がいることすら忘れられてしまう。高校の課外活動でいきなり車のクラクションが鳴った時にそれに驚いた私を見て、どうして驚いたのかを聞いてきたことがあった。その時は少し理解してもらえなかったことにイラっとして説明をしなかったら、なんでだろうか?と議論をしながら男子3人でさっさと歩いて行ってしまった。おかげで私は1人、1時間ジョグをする羽目になった。ちなみに1時間で済んだ理由は私がバテてしまい、そのままベンチに座ってしまったからだ。結局いなくなったことにすら気が付いてもらえず、巡回をしていた先生に拾われた。あとで男子3人は怒られたらしい。
まあ、そんなわけで1つ目以外の理由は言えないのだ!でも、このまま疑問形だった理由を説明しないでいるとなんでだろうか?と議論をしながら消えていく気がする。しかも、3人とも山道に慣れているからあっという間に置いて行かれてしまいそうだ。どうしよう……。
大学恋愛 カエル @azumahikigaeru
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