第178話 重戦車
銃社会ではないハズの日本で、こんなにも銃撃音を聞く事になるとは、思ってもいなかっただろう。
僕は姿を、数か月前に捕食した戦車みたいに頑丈なゼノに変身した後、今度は両腕を変身させ巨大な蟹の手の形へと変えた。この蟹の手はA班総出出動して駆除したゼノの一部を模倣したものだ。あの時よりも僕のサイズに合わせてあるので小さいが、能力はちゃんと使える。
ガガガガガガガガガガガガッ
僕の蟹の手から大量の弾丸が放たれる。
このゼノの力は、ハサミの間の穴から殺傷能力の高い弾丸を、ガトリングガンの様に打ち出すことが出来るのだ。僕とキラさんで守りを、ミナさんハイノメで攻撃を、それで何とか勝てた相手なのだ。
更にそれだけでは終わらせない、僕は背中をウニみたいに針で覆った。針はしばらくすると、根元から火花を出し始め、ミサイルの様に相手に向かって行った。
ウニみたいな不気味なゼノと、ロケット花火みたいに火を出していたゼノの合わせ技だ。この技をお披露目したのは初めてだ。ミナさん達を驚かそうと思って秘密にしていたのだが、やむを得ない、相手もこの技は知らないはずだ。
つまり相手はこの技に対処できない!
このままごり押しすれば倒せる!
「ど、どうするのですか?!
「落ち着け! 今は黙ってくれ! ぜぇ……ぜぇ」
大雨のように繰り出される弾丸の嵐に対し、
そろそろ仕上げといくか……
僕は口を大きく開けて、砲撃の用意を始める。怪獣の様に開いた口の奥から温かいドロドロとした燃料みたいな物を感じる。
発射まで後5秒と言ったところか……
モンスターハンターのリオレウスみたいにパッと出せないのが、欠点だが威力は申し分ないと自信をもって言える。民家の一軒ぐらい簡単に吹き飛ばせるぐらいには強力だ。防がれることよりも相手を殺してしまわないかが心配だ。
どうか死なないでくれよ! 発射!
僕は溜めていた力を打ち出そうとした時、脳裏に変な情報なのだろうか、知らない記憶がいきなりグルグルと走り回った。どんどんいらない情報やら、知らない記憶が入ってくる。
お菓子が欲しいだの、コウキは案外いい奴だの、お母さんがどうのこうの……
「……あのうさ耳女の能力か?」
奥で盾の隙間からうさ耳女が両手を前に出し、眼を閉じて念仏を唱えるように集中していた。
「ミミ! ありがとう君の稼いだ時間無駄にしないよ。ゲンドウさん!」
「は、はい……」
しまった……
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