第176話 ガンスリンガーガール
「結構殺したんじゃないか?」
ロックはそう言った後、右手で潰した対策課の職員の死体を放り投げた。
「そうだな、そろそろ戦闘係って奴らが現れてもいいんじゃないか?」
テッソウも飽き始めている様子。
私はこいつら2人と違って人殺しが好きなサイコ野郎ではない。
仕事として、サクヤ様のために働いているだけだ。
「……どうやら来たらしい」
廊下の奥から3人、男が1人と女が2人、恐らく戦闘係B班の3人。
今現在、戦闘係A班は任務の為、キラヨシツグとトガショウ以外いない。もう一つのB班はサクヤ様によって救われたヤタレオンと、スパイ活動のキラコウキが敵として現れないと考えると、班長のオオモリヒカル、
「ほほう、ようやく来たか。さあ、お前たちの力を見せてくれ。」
「だまらっしゃい! アンタたち、よくも皆を、こんなにいっぱい殺してくれたわね! 覚悟しやがれ!」
真ん中にいる男、オオモリヒカルが私たちに殺気を放つ。
ここまで恐ろしく冷徹な殺気を放てる者はそうそういない、災害前にも傭兵とか戦場にいた経験がないと出せないモノだ。
気を引き締めて行かねば……
「ふん、オカマかよ。舐められたものだぜ!」
テッソウは奥にいる敵3人に勇敢、いや無謀にも向かっていった。
「あのバカ、いったん止まれ!」
「ビビッてんのか? ガンお前は遠距離専門らしくそこで待ってろ!」
奥にいるエマストロークがスーと床に落ちていく? いや、あれは床に潜伏したんだ。床からテッソウを襲おうとしているんだ。
「ぎゃはは、おいそれ! 床にいる間は無敵状態なのか? 切り刻んでみたらどうなるんだろうな!」
テッソウはそう言って床にいるエマストロークを床ごと切り刻んだ。
床から大量の血が噴水のように噴き出す。ことは無かった。床に居るはずのエマストロークは水に溶けだす絵の具の様に薄くなって消えていった。
「
潜伏したエマストロークの正体は、オオモリヒカルの能力によって作られた偽物だったんだ。
「テッソウ、早くその場から離れろ!」
「ハッ! それがどうした。もうカマ野郎の喉仏まで目と鼻の先よ!」
テッソウは私の忠告を無視して、オオモリヒカルに向かっていった。
しかし、ほんの一瞬、彼の足が、スピードが死んだ。
彼の足をガッツリと掴んでいる者がいる。エマストロークだ。
今度こそ本物のエマストロークだ。テッソウは勿論、振り解こうとご自慢のかぎ爪でエマストロークを攻撃し始める。その行動を前の2人は見逃さなかった。
「
「
風によって作り出された槍、無数の光の光弾がテッソウに向けて放たれた。
「ロック、能力でテッソウを守れ!」
「ダメだ、間に合わん!」
テッソウは雨の様に光弾を浴びせられ、風の槍を胸元から喰らってしまった。即死だ。あまりにも呆気なさすぎる……
「おい、ロック。5分ってとこか?」
「ああ、行けるぜ!」
「OK!」
私は大事に持っているXM556、手持ちガトリングガンを手に持った。私のお気に入りだ。こいつはゼノに対しても再生する暇を与えない、そして私の能力は近くにある土や石を弾丸に変えることが出来る。このガトリングガンで奴らをハチの巣にしてやる。
地下に男の悲鳴が響く……
別に殺した訳ではない、ただ気絶してもらっただけ。
「し、支部長! 大変です! アオバサユリが! はい、ええ、実験は成功しました。彼女は能力者へと変わり、トガショウを助けると、職員に襲い掛かってきたのです。私は何とか実験室の外へ避難出来ましたが……、え? 能力ですか、なにやら電気なのでしょうか、電流を生み出して攻撃を……」
取り逃がした職員は部屋の外に逃げ、誰かと話している。
恐らく、支部長。オオモリトウヤだろう。
邪魔はさせない、何となくだけど、この能力の使い方が箸を使うようにわかる。
「
私の身体から放たれた電気が生き物のように動きドアのロックを解除した。
外にいるもう1人の職員を倒した後、私は能力を使い通路の扉を解除しながら本能に従い進み始める。
「トガ君、待っていて……」
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