第27話 もうちょっと♡
目が覚めると、興奮しているアオバサユリとその介護をしている助手がいた。……いつの間にか裸になっていた。この女が持っている使ったばかりのメスで、自分の身にいったい何があったのか すぐに理解が追いついた。
「で、どうだったんですか? ぼくの身体の中は!」
ぼくは少し怒りを込めた口調で問いかけた。怒りの問いに、この女は怯むことなく顔を赤らめながら、オタクが自分の好きなことを説明する時特有の、口調が早くなる現象が発動し、マシンガントークでバンバン知ったことを話してきた。
もう、体中穴だらけだ……助手君にも流れ弾がきてる。
小一時間 頭のおかしい女の話は続いた……
もうこのジャンクフードで、お腹いっぱいだ。
「結局のところ 特に何もわからなかったと……」
「そんなことないわ あなたの再生能力の凄さはよーく分かったし! でも、からだの隅々まで調べられなかったの だからもう少しだけ……♡」
「もちろん断る!」
この女、懲りずにまだ続ける気だ。
気持ち的には夜になり、仕事が終わって帰宅する時間帯 だがしかし、日本はまだお昼過ぎ! 昼食を食べる気にもはなれず、トボトボ歩いて戦闘係の部署へと向かった。
「お疲れ様でした。トガ君……大丈夫?」
キラさんが僕の顔を見て、心配して声をかけてきた。
それほど今の僕は死んだ魚の様な顔をしてるんだろう……見なくてもわかる。
「私ちょっと話して来ます!」
突然ミナさんが怒りをこみ上げた感情で、研究所に向かおうとした。
「おいおいおい、ユズキさん! 問題起こさないで! この部署解体されちゃう……」
「でも、キラさん トガさんがモルモットにされて悔しくないんですか?」
「……まあ、あの人と一緒に居たら仕方ない」
「そ、そんなのでいいんですか ユミさんも!」
「わたしはアイツと関わるのはパス」
「んも~、わかりました 私一人でカチコミに行きます」
そう言い放ち、ミナさんは研究所へとカチコミに向かった。
「ちょっと、仕事は? あーもう 支部長に怒られる……」
「キラさん……大丈夫ですか?」
「だいじょばない、トガ君 悪いけどユズキ君の仕事やってくれる? 私もやるからさ」
夜が仕事の終りを告げるはずだが、仕事が増えてしまって今夜は残業だ。
「まあ、こういうこともある。しっかし、ユズキ君は遅いね。何かされているのは確かだろう……」
「あああ、ミナちゃん大丈夫かなぁ……」
「そ、そんなに気になるなら迎えに行ったら?」
僕はさっきから 気になってそわそわしているハイノメに、他力本願でそう言った。
「で、でもなぁ~」
そう言って チラッ チラッ と、キラさんに目線をやる……
彼女もまた他力本願なのだ!
さらに時間が過ぎ、いつの間にか仕事も終わっていた。
後はミナさんが帰ってくるのを待つだけ……
やることがなくなった僕とハイノメは、キラさんをジーと見つめていた。
「……わかりました。私が見に行きましょう」
キラさんが覚悟を決めた瞬間、キィィィと扉が開いた。そこに現れたのは絶望した表情のミナさん……その顔には光がない。ミナさんは、安心したのか急に涙を流し、ハイノメに抱き着いた。
「うあああん、犯されたぁぁぁ~~」
「良かった。無事だったんですね」
「いや、無事ではないよね この状況」
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