第26話 初体験

 「じゃあ、お注射しますね~」

「わかりました……じゃないわ! え、なんなんですか?」

身体検査って麻酔使う? もっとこう、身長測ったりとか、レントゲン撮ったりとか

麻酔って……人体解剖する気満々じゃん!

「ふざけんな、こんなの聞いてないぞ」

「まあまあ、暴れない暴れない! えい!」

暴れる僕を押さえ、アオバサユリは麻酔をブスリと打ってきた。段々と、意識がなくなってくる。部分麻酔じゃなくて、本気で体の隅々まで調べる気だ。

 

 ダメだ……目が開けていられなくなってきた……


 

 

 私の名前はアオバサユリ! ここ世界樹対策課の能力者研究の第一人者 彼氏いない歴イコール年齢だけど気にしない気にしない! 何故なら今、私は最高の実験体と付き合っているのだから♡ トガショウ 彼の能力は異常な再生能力……その力は、心臓が止まったり、半身が欠損したりしても再生すると。能力者自体、普通の人よりも傷の治りが早いことは分かっているけど、この子ほどじゃないわ。それに、なにかしら……なんか妙な感じがじわじわと感じるのよね。


 こんな気持ち初めて♡


メスをとり、トガショウの上半身の上から入れていく……。意外と大きく、そして固い肉の触感を感じながら切り進めるたび、自分の中にある女の欲がどんどん高まっていく♡ こんな経験は初めてだった。いままでこんなにも異性に対して感じたことはない。なにか異性を発情させる物質を出しているのだろうか? そのことも気になるが、今は能力を調べないと……


 ググ! 


急にメスが入らなくなった。それどころか

「押し戻されてる? 再生能力が発動したのね!」

意識がない状態でも発動するなんて


 ああ、ゾクゾクする♡


夏でもないのに私の下着は、ぐっしょりと濡れていた。


 もっとメスで体を切りつけたい気持ちを押し殺し、別の方法を考える。まさか 気絶している状態でも能力が発動するとは思ってなかった……

「そうだ! 指を切り離そう! ノコギリ持ってきて」

私は助手に医療用ノコギリを持ってこさせ、それを使いトガショウの指を切断した。切断された指がどうなるのか気になるから♡ 一分もしないうちに、手から新しい指が生えてきた。切断した指のほうは徐々に花のように萎れていき、最終的に枯れた枝のようになった。

「なるほどね、さすがにプラナリアみたいに、切れば切るほど増えていくわけじゃないのね。」


 少しがっかりした……

 もし増えるのなら実験用として、マウスのように増やせたのに……


「先生、倫理観忘れてないですよね」

助手が私の考えていることを見抜き、心配してきた。

「大丈夫よ。安心して! どうやら増えないらしいから」

「それって、増えるのならやるつもりだったことですよね。」

「さ、時間がないわ 次行くわよ」

助手の疑問を完全無視し、私は次に進めていこうと思ったのだが、

「ん、なんだ~」

実験体トガショウが目覚めたのだ!


 起きるまでまだまだ時間があったはずなのに、ここまでか……


私の至福の時間が……終りの鐘が鳴り響いた。



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