躾と虐待

Shion

第1話

【躾と虐待】




「躾」と言われたら皆は何を想像するだろう。僕は--------。




天気のいい朝。窓から溢れる光で目が覚める。ベットから起き上がり扉を開ける。

階段を降りリビングの扉を開けるとそこにはおばさんが居た。

___________________________________

僕の両親は3年前に事故で死んだ。

3年立ってもどうしても手が震えてしまう。

その日から人生が変わってしまった。

今は学校にも行けなくなってしまった。

__________________________________________

おばさんが口を開ける。

「早く起きろよ…!」

おばさんは座っていた椅子から立って

僕の頬を叩く。

バチンッ

と鈍い音がなる。

もう慣れてしまった。

「ごめんなさい。明日こそ早く起きます。」

と謝る。

おばさんは諦めたように

「朝ごはん」

と一言。

「はい。」

と返し、キッチンに入る。

冷蔵庫を開けると昨日の夕飯の残りと卵があった。今日は残りを卵で閉じようと決める。

〜5分後〜

キッチを抜けおばさんが座ってる前の机にお皿を置く。

おばさんはまずいと言いながら完食。

おばさんは外に出るなと念を押し出かけた。

僕は卵かけご飯をたべ部屋に戻る。

大人しく何回も読んだ本をまた読み始める。


なぜ虐待から逃げようとしないのか…

正確に言うと逃げることができないのだ。

この家には監視カメラが設置されており、僕が声を出したり変なことをしてるところを見られるとおばさんはすぐさま帰ってきて僕に躾を下す。

主な内容は叩く。蹴る。殴る。飯抜き。

牢屋一週間。

牢屋というのは大型犬用の小屋で過ごすことだ。


__________________________________________

僕は一度逃げ出そうとしたことがあった…

夏のある日おばさんは近所の人と隣の県にでかけてくるといい家を一時的に開けてたときがあった。

その時は虐待が始まったばかりでそんなに叩かれたりはしなかった…

けど精神的にやばくなっていたのか

僕はおばさんが出かけたあと必要なものを持ち裸足で逃げ出した。

けど警察になぜ裸足か、なぜ一人なのか、どこが家かなど様々なことを聞かれ家に帰らざる負えなくなってしまった。

そして家に帰ると玄関には息を荒らげているおばさんの姿があった。

おばさんは僕の顔を見るなり僕の腕を掴み家の中に引き込んだ。

そしたらおばさんはどこから買ってきたかわからない大型犬用の小屋に入れと命令してきた。

「え?」

とつぶやくとおばさんは僕の髪の毛を掴み僕を小屋に投げ込む。

痛いくうずくまっていると、おばさんは小屋に鍵をかけ、

「一週間そこで過ごせ」

と一言言い、部屋から出ていった。

大型犬用と言っても僕には小さく足を折り曲げないと入らないくらいだった。

その日から一週間おばさんがこの部屋に入ってくることほとんどなく水だけで過ごした。


一週間が終わり今度は次の躾が始まった。


更に一週間殴られ蹴られ続けた。

痣は消えなくなり跡になってしまった。

お風呂に入ってはいけないので濡れたタオルで体を拭く。その度に傷と痣が増えていく。手首には自分でやった傷の跡がある。

おばさんはやめろと言ってくるがそれだけは僕の生きるために必要だからやめることができない。


痣や傷が増えるたび自分の心も同じように傷ついていった。



僕はなぜ生きているのだろうか。

おばさんに虐待を受けるため?

おばさんにご飯を作るため?

いや違う。これだけはわかる。


けど本来の生きる意味はわからないままだった。


そして今は、おばさんに従いずつ逃げる隙を探してる。

相変わらず監視カメラは設置されており、やはり逃げる隙はない。

逃げるには靴とお金が必要だ。

けど靴は10歳のときに履いてた靴しかない。今は13歳で履けるわけない。

お金はお母さんが生きてた頃にくれて貯金していた1万円がある。ほんとはもっと持っていたがおばさんに回収されてしまった。この1万円はいつも読んでいる本にずっと挟んで隠していた。

1万円あれば靴は買えるだろう。


しかし、それではこれからの生活が危ない。

けど…はやくしないと…


決めた。

明日逃げよう。

___________________________________

次の日、おばさんはいつも通り出かけに行った。おばさんが出かけていつも2時間程度で帰ってくる。逃げるなら今だ。

カバンにお金とスマホ、飲み物、お菓子などを詰め玄関に向かう。

監視カメラはスマホで確認できるようになっている。おばさんは出かけてから20分間はスマホをいじっていない。何度か体を張って試した。今このときのために。

玄関の扉には【出るな】と大きな張り紙が貼ってある。

それを無視しドアノブに手をかける。

ゆっくり音を立てながら扉が開いていく。外は晴天で鳥が元気に鳴いている。


人がいたらなぜ裸足か質問されてしまうためしっかり確認する。

周りにひとがいないが確認出来たため交番に走り抜ける。交番まで約700m、こときのためにスクワットや腕立て伏せ、上体起こしなどをして体力をつけてきた。

靴屋に寄り道し靴を買う。店員が不審がっていたが無事買えた。

そしてまた走り出す。


息が上がる。手が震える。もし捕まったら…

けど…逃げるなら今しかない。

走り続けていると交番が見えてきた。

交番の前には警官らしき人が見える。

その前に後ろを確認するとそこには誰もいない。。。


安心したが、足がすくむ。

けどこれ以降チャンスはないだろう。

あと少し。少しでいまの生活から開放される。

    ______________

交番に入り込む。警官の人に虐待のこと、今までのことをすべて話した。自然と涙が溢れてきて警官のひとは優しく丁寧に対応してくれた。スマホをわたし警官の人はだれかに電話をかけていた。そうするともうひとりの警官の人がこっちおいでと交番の奥の休憩室で休ませてくれた。少し休んでいると扉からおばさんと警官の人の声が聞こえた。しばらくするとサイレンが聞こえてきて…




おばさんの声は聞こえなくなった。




警官の人が部屋に入ってきて

てきて警官のひとは優しく丁寧に対応してくれた。スマホをわたし警官の人はだれかに電話をかけていた。そうするともうひとりの警官の人がこっちおいでと交番の奥の休憩室で休ませてくれた。少し休んでいると扉からおばさんと警官の人の声が聞こえた。しばらくするとサイレンが聞こえてきて…

おばさんの声は聞こえなくなった。

警官の人が部屋に入ってきて優しく抱きしめてくれた。


抱きしめられたのはいつぶりだろうか…


暖かく落ち着く…


自然と涙が溢れてきて声を荒らげて泣いた。


警官の人は優しくずっと抱きしめてくれた。










現在は17歳。高校生だ、


俺は生活保護を受けながら仕事を探している。


あのときあの躾から逃げなかったら今頃死んでいただろう。


その時の自分と警官の人に感謝だ。




今は友達もでき幸せに過ごしている。











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

躾と虐待 Shion @shion-0206

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る