ザ・ノーパンゾンビ

@basper

シン・ノーパンゾンビ

タイトル: ノーパンゾンビ



ジャンル: B級ホラーコメディ



設定: 現代日本、寂れた温泉町「湯ノ沢町」


第1章: まんじゅうと異変


湯ノ沢町の朝は、霧がたなびく静かなものだった。


商店街の端にある「山田まんじゅう店」のカウンターで、太郎は欠伸を噛み殺しながら湯気の立つまんじゅうを並べていた。


看板商品「ノーパン温泉まんじゅう」は、町の伝説にちなんだものだが、観光客は減る一方で、売れ行きはさっぱりだ。



「太郎! またボーッとして! 町おこしイベントのポスター、貼ってきてよ!」



店の奥から現れたのは、幼馴染の佐藤花子。


町役場の観光課で働く彼女は、色褪せた商店街に活気を取り戻そうと奮闘中だ。



「はいはい、分かったよ。ったく、ノーパン地蔵なんてダサい伝説で客が来るわけねえだろ」



太郎はぶつくさ言いながらポスターを抱え、店を出た。


その夜、町は不穏な空気に包まれた。


町外れの森で「下着を脱ぎ捨てた人間が徘徊している」との通報が役場に入ったのだ。


花子に誘われ、太郎は半信半疑で森へ向かった。



「こんな時間に何だよ、ホントに変な奴でもいるのか?」



「黙ってついてきて! 何か変な気配するの!」



二人が懐中電灯を手に森を進むと、木々の間から奇妙なうめき声が聞こえた。


「パンツ…よこせ…!」



「な、なんだ!?」



暗闇から現れたのは、顔を白塗りにしたような男。


服はボロボロで、なぜか下着を履いていない。


目が血走り、ぎこちなく踊るような動きで二人に迫る。



「逃げろ、太郎!」



花子が叫び、二人は必死に走った。


背後で「パンツ! パンツ!」と叫ぶ声が追いかけてくる。


第2章: ノーパンゾンビの襲来


翌朝、町はパニックに陥っていた。


商店街には、ノーパンで徘徊するゾンビたちが溢れ、店主たちが悲鳴を上げながらバリケードを築いていた。



「何だこれ! ゾンビ映画じゃん!」



太郎はまんじゅう店のシャッターを下ろしながら叫んだ。


花子は役場の無線で情報を集め、ゾンビの特徴をメモしていた。



「噛まれると感染するみたい。でも、こいつら…パンツを見ると興奮して、逆にパンツを投げつけると混乱するのよ」



「は!? パンツ!? 何それ、シュールすぎだろ!」


二人は町の長老、婆ちゃんキヨの家へ向かった。


キヨはノーパン地蔵の伝説に詳しい霊媒師だ。


薄暗い座敷で、キヨは目を細めて語り始めた。



「ノーパン地蔵はな、昔、裸で町を荒らす悪霊を封じたんじゃ。そいつらを鎮めるには、地蔵に『究極のパンツ』を捧げなきゃならん」



「究極のパンツって…何ですか、それ?」



太郎が呆れると、キヨはニヤリと笑った。



「地蔵堂に隠されとる、金ピカのふんどしじゃよ。それさえあれば、ゾンビも消える」


そこへ、酔っ払った男がふらりと現れた。


田中博士、町外れのバイオ研究所の元研究員だ。



「へへ、悪いな。実はあのゾンビ、俺のせい…いや、研究所のせいだ」



田中は、研究所が「羞恥心を解放する薬」を開発中、誤ってウイルスを漏洩させたことを白状した。


感染者は羞恥心を失い、パンツを嫌悪する「ノーパンゾンビ」と化すのだ。



「じゃあ、どうすりゃいいんだよ!」



太郎が叫ぶと、田中はグラスを傾けながら呟いた。



「パンツ…大量のパンツで足止めして、地蔵にふんどしを捧げるしかねえ」


第3章: パンツ戦争


太郎と花子は行動を開始した。


地元の古着屋を漁り、山のようなパンツを集めると、商店街に「パンツバリケード」を構築。


ゾンビたちが「パンツ! うわあ!」と叫びながらバリケードに突っ込んでは混乱する姿は、まるでコントのようだった。



花子はさらにアイデアを閃いた。



「パンツ爆弾を作りましょう! 風船にパンツを詰めて、ゾンビに投げるの!」



二人は100均で買った風船にパンツを詰め込み、ゾンビの群れに投げつけた。


爆発音とともにパンツが舞い散り、ゾンビたちは一時的に動きを止めた。



「すげえ、花子! これで勝てるぞ!」


しかし、喜びも束の間。


ゾンビの群れを率いる「ノーパン王」が現れた。


元研究所所長が変貌した巨大なゾンビで、全身にパンツを拒絶するオーラをまとっている。



「パンツなど…不要! 全てを解放しろ!」



ノーパン王の咆哮に、町民たちは怯えた。


第4章: 地蔵とふんどし


太郎と花子は、地蔵堂を目指してノーパン王と対峙した。


堂の奥には、キヨが言った「金ピカのふんどし」が安置されている。



「太郎、あんたがふんどしを取って! 私がゾンビを食い止める!」



花子はパンツ爆弾を連投し、ゾンビの注意を引きつけた。


太郎は地蔵堂に飛び込み、埃をかぶった金ピカのふんどしを見つける。


それは、まるで神聖な輝きを放つ下着だった。



「これが…究極のパンツ!?」


ノーパン王が堂に突入し、太郎を追い詰める。


絶体絶命の瞬間、花子が最後のパンツ爆弾を投げ、ノーパン王の動きを一瞬止めた。



「今だ、太郎! 地蔵に捧げて!」



太郎はふんどしを掲げ、地蔵に祈りを捧げた。



「ノーパン地蔵さん、頼むよ! この町を救ってくれ!」


地蔵像が突然光を放ち、黄金のオーラが町を包んだ。


ノーパン王は悲鳴を上げ、ゾンビたちは次々と正気に戻る。


驚くべきことに、全員が下着を履いた状態で復活した。



「パンツ…パンツは人間の尊厳だ…!」


太郎は思わず叫び、花子と抱き合った。


エピローグ


湯ノ沢町は平和を取り戻した。


ノーパン地蔵は新たな観光名所となり、「パンツフェスティバル」が開催されるまでに復活。


太郎と花子は、町おこしの成功を祝いながら、商店街でまんじゅうを頬張った。



「結局、ノーパン地蔵って何だったんだろうな」



「さあね。でも、パンツの大切さは分かったでしょ?」



二人は笑い合い、夕陽に染まる町を見下ろした。


遠く、地蔵堂で地蔵がウインクしたような気がしたが、誰も気づかなかった。


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