ナボナ
お父さんが東京駅の方まで出張に行ってきたらしく、お土産を買ってきてくれた。
お父さんが帰ってくると、家族みんなでリビングに集まり、お土産袋を囲んでワクワクしながらお土産袋が開けられるのを待っていた。お父さんはちょっと得意げな顔で、どんなお土産を買うか迷った話をし始めた。
「東京駅には本当にたくさんのお土産があるから、どれを買うか迷ったんだよ」
お土産袋に手を掛けながら、お父さんが言う。
「例えば、『東京ばな奈』があるだろ? 東京の定番スイーツで、バナナ風味のクリームが詰まった柔らかいスポンジケーキ。定番だけあって美味しいんだよな。冬限定のチョコ味もあるし、それを買おうか迷ったんだ」
ふむふむと、家族は耳を傾ける。
「それとな、『シュガーバターの木』というのもある。サクサクのバタークッキーに砂糖がまぶされていて、とても美味しいお菓子だ。あれは一度食べたら、またお土産にしたくなる魅力がある。そして『ごまたまご』もお母さん好きだったよな。ごまペーストが中に入ったホワイトチョコレートでコーティングされた和風のスイーツで、これまた美味しいんだ」
お土産の話が楽しいらしく、お父さんはなかなか袋を開けてくれない。
「それらを見た時、どれも美味しそうで迷ったけど、結局『ナボナ』を買うことにしたんだ」
そう言って、お父さんは微笑んだ。
お土産袋をサッと開けると、色んな味のナボナが出てきた。
「ナボナは、クリームがたっぷり詰まったスポンジケーキで、ふんわりとした食感が最高なんだ。特にこのバニラ味のナボナは、口の中でとろけるようなクリームが絶品だよ」
ナボナの良さを嬉しそうに説明してくれた。
私はナボナを手に取り、パッケージを開けてみた。柔らかくてふわふわの丸いスポンジに、たっぷりとクリームが詰まっているのが重さから分かる。
見ていると、口に入れるのが待ちきれなくなり、ひと口頬張る。バニラクリームの甘さとスポンジの軽い食感が絶妙にマッチして、幸せな気分になった。
「お父さん、お土産選ぶのが本当に好きなんだね」
「そうだぞ? 家族が喜んでくれるのが嬉しいからね」
その言葉に、心が温かくなる気がした。
「お父さんが選んでくれたナボナ、美味しいよ」
そういうと、お父さんも満足そうに微笑んだ。
お父さんが一生懸命選んでくれたこのお土産は、私たちにとって特別だな。これからも、こうして家族で一緒に楽しい時間を過ごせることを大切に思わないと。
「それにしても、ナボナって本当に美味しいね」
「そうだろ、母さん。お父さんの見る目に間違いは無い! はははは!」
お父さんの出張のたびに買ってきてくれるお土産
。今度はどんなお土産を買ってきてくれるのか楽しみだな。
私はもう一口ナボナを頬張った。
「見る目バッチリだよ、お父さん! 私もナボナ好き!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます