双子
私には、双子の友達がいる。名前は茜ちゃんと葵ちゃん。
一卵性の双子なので、二人ともすごく似ているのだ。初対面では、どちらかわからないだろう。しばらく付き合った私でさえ、たまに間違えそうになるくらい。
二人は一緒に過ごしていることが多くて、いつ見ても楽しそうに話している。
昼休憩は、一緒にご飯を食べることが多かったりする。
「二人とも、同じものが好きなんだね。お弁当の中身が一緒だよね」
二人のお弁当がいつも同じなことが、ふと気になったので二人に聞いてみた。私の疑問に対して、二人は顔を見合わせて不思議そうな顔をして答えてきた。
「そりゃあそうでしょ。お母さんは同じなわけだし」
「二人とも違うお弁当を作るとしたら、お母さん困っちゃうじゃん」
二人の言い分に、私は納得した。
「あぁ、そりゃそうか。けどさ、好きな物ってやっぱり同じだったりするの?」
「それは、大体いつも同じものを好きになったりもするよね」
「うん、そうそう。お弁当を決めるときは私と葵の好きなものを選んだりするよね!」
「「ねぇーー!」」
二人で顔見合わせて答える。息がぴったりだ。
こんなに仲が良い二人なので、気になったついでに聞いてみた。
「何でも同じだと、もしかすると、好きな人も同じになっちゃうんじゃない?
茜と葵は、私の質問に固まってしまった。
二人で顔を見合わせて、「あはは……」と困ったように笑っている。
おそらく図星を付いてしまったのかもしれない。話題を間違えちゃったかなと思っていると、二人で「うんと頷いて、一斉にこちらを向いた。
「ちょっと、ここだけの話するから近寄って」
「これは、綺羅ちゃんにしか話さない話だからね。誰にも言わないでね」
念を押してくる二人に、私も覚悟を決めて頷く。
「うん」
私と茜と葵の三人で席を囲んで、顔をくっつけあった。小さい声で、二人は話し始める。
「「私たちの好きな人も、実は双子なんだよ!」」
「えっ……? ええええーーーっ!!」
二人で声を揃えて言うから、驚きも二倍になった。ついつい大きい声を出してしまった。
「「ダメダメ、しーしーっ!!」」
「ちょっと待って待って。双子って言えば、空くんと大地くんってこと?」
「うん、そうそう」
「私が大地くん好きで、葵が空くん好きなんだ!」
嬉しそうに話す二人は、いつもの二倍可愛く見えた。
双子って良いなと思った。二人で似た人を好きになるけど、二人とも違う人。
そうだとしたら争いにならないし、喜びも二倍に増えるのかもしれない。こんな二人の恋愛を応援したくなっちゃう。
「双子って良いね、羨ましい。私、双子って好きかもしれない!」
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