漢字

 今年も残りもう一ヶ月。

 長かったようで短かったような。怒涛の一年がそろそろ終わるというわけだ。


 この時期になると、『今年の漢字』が決まる。学校の昼休みに、友達と今年の漢字を予想する話題になった。毎年発表されるこの漢字には、今年一年の出来事や流行を反映した意味が込められているから、とても興味深い。


「私は『葵』だと思うな」


 友達の葵が自信満々に言った。彼女の名前でもあるこの漢字には、2024年の多くの出来事と関連しているという。


「今年、葵祭りがすごく盛り上がったでしょ? やっとコロナが明けたっていう感じがしたし。それに、京都の観光もまた人気が出てきたし。葵って、自然と人々を結びつける意味があると思うの!」


 熱心に語る葵の言葉に、私はうなずいた。

 確かに、自然や伝統行事が見直されているこの年にふさわしい漢字かもしれない。


 次に友達の茜が口を開いた。


「今年の漢字は『茜』がいいと思う」


 茜の理由としては、2024年の夕焼けが特に美しかったことにあるらしい。


「今年の夏、毎日のように茜色の空が広がったよね。あの美しさは忘れられないし、人々の心に残る象徴だと思うの!」


 私も茜色の夕焼けに感動したことが何度もあったから、彼女の意見には共感した。


 そして、金森くんが「僕は『金』だと思うな」と言った。


「オリンピックがあったし、日本選手がたくさん金メダルを取ったからね。金は勝利や栄光の象徴だと思う!」


 金森くんは力強く話した。

 確かに、スポーツ界での日本の活躍は輝かしいものだった。


 ちょうどその時、教室の誰かのスマホにニュースの通知が来たようだった。


「今年の漢字は『金』に決定したらしいぞ!」


 そんな言葉が教室中に飛び交った。

 みんな一斉に金森くんの方を見る。それに対して、金森くんは照れ笑いを浮かべていた。



「やっぱり金っていいよね」と誰かが言うと、みんなもそれに賛同した。

 私は『金』が選ばれたことに納得しながらも、自分の名前の漢字が頭に浮かんだ。私の名前の漢字は選ばれなかったけど、それぞれ皆の名前には深い意味が込められているんだなって思った。

 私も自分の名前が気に入ってるしね。


 あらためて、自分の名前の漢字が好きだと思った。



 名前には親の思いや願いが込められていて、その意味を知るたびに誇りに感じる。自分の名前を大切にしながら、これからもたくさんの素晴らしい出来事を刻んでいきたい。


 今年の漢字が『金』に決まったことで、一年の終わりを感じながら、しみじみと漢字の意味について感慨にふけった。


「漢字って奥が深いよね。漢字好きだな!」

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