犬の服

 冬の冷たい風が頬を刺すようになり、寒さを感じる季節がやってきた。紅葉が始まったかと思えば、瞬く間に終わってしまい、色とりどりの葉が舞い落ちる景色を眺める間もなく、木々はすっかり裸になってしまった。雪が降ることはないかもしれないけれど、それくらい寒い毎日が続いている。


「気付いたら冬になってるんだもんね。もう十二月だよー?」

「期末テストだもんね。もう来週か、早いねー……」


 そんなことを喋りながら、冬美と学校への通学路を歩いていると、ふと目に留まる光景があった。犬を散歩している人が通り過ぎたのだが、その犬がとても可愛い服を着ていた。真っ白な毛並みに、ピンク色のニットセーターが映えている。セーターには小さなフリルやリボンがついていて、その上にふわふわのポンポンが付いた帽子までかぶっている。まるでお人形のように愛らしい姿に、私は思わず足を止めてしまった。


「私の私服よりも可愛いかもしれない……」


 犬がこんなにおしゃれをするなんて、素敵だなと思った。私自身、オシャレにはこだわる方だけれど、この犬の服装には心がときめいた。


 犬もオシャレをするのがいいな。自分の好きな服を着て、寒い冬を楽しく過ごす姿が微笑ましい。きっとこの犬も、自分の可愛い服が気に入っているのだろう。楽しそうに歩く姿が楽しそうだ。それについて歩く飼い主さんも、犬のことを大切に思っているのが伝わってくる。


 犬の服って本当に素敵だなと改めて感じた。この季節になると、街中でオシャレを楽しんでいる犬たちを見ることが増える。そんな姿を見るたびに、心がほっこりと温かくなるのだ。


 通学路を歩きながら、今日見た犬の可愛らしい姿を思い出して微笑んだ。私もこんな風に、自分らしいオシャレを楽しみたいと思った。犬の服が好きな気持ちが、ますます強くなった。


「さっきの犬見た? 最近の犬の服って可愛いんだね!」

「見た見た。私も思ったよ。こんなにオシャレなんだね!」


 これからも、街中で可愛い犬たちに出会えることを楽しみにしながら、寒い冬の日々を過ごしていこうかな。ペットだから服は着ないという感覚が違っていたのかもしれない。犬もオシャレするのがいいな。私も負けないように、もっと素敵な服を見つけて楽しもうと思った。


「犬の服、冬服だとなおさらいいね!」

「私もフリフリ可愛いと思ったよ!」


 そんな事をつぶやきながら、今日も元気に通学路を歩いた。これからも、オシャレを楽しむ心を大切にしていきたいと思う。そんな風に感じた冬の朝だった。


「犬の服って好きだなー!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る