ホットショコラ
「久しぶりに桜木町に来たけど、なんだか変わったね! 」
桜木町の駅から出てみると、目の前には大きなロープウェイが見えた。ピカピカに光る黒いロープウェイが宙に浮いている。次々と駅に入っていったり出ていったり、発車停車を繰り返していた。絶え間なく動く姿が玩具のようにも見える。歩く人々もなんだか煌びやかな服を着ているようにも見えて、町全体が大きなテーマパークみたいに感じられる。
「今日の目的はロープウェイじゃないから、乗らないよ?」
そう言って、
「今日の目的はクリスマスを楽しむことなんだからね」
「そうだね! 楽しみだね」
私と梓は手を繋いで、目的の場所へと向かった。
◇
今日の目的の場所は、赤レンガ倉庫の前にあるクリスマスマーケット。この時期になると、出店が多く並んだり、大きなクリスマスツリーが飾られたりする。昨日テレビで見てたらどうしても来たくなって。梓を誘って来てみたのだ。
現地に着くと、人混みがすごかった。家族連れやカップル達が多くいる。ウキウキした顔でお店を眺めたり、会場の飾りつけの写真を撮ったりしていた。
「海に近いから少し寒いね。もう少し厚着してきた方が良かったかも」
「だったら、何か温かいものでも食べたり飲んだりする?」
梓が手を引いて案内してくれたお店には、温かそうなココアやホットショコラが売っていた。飲み物の上には、サンタさんやトナカイのマシュマロのようなものが浮かんでおり、見ているだけでも楽しい気分になるものだった。
「私がトナカイで、
梓が二つまとめて買ってくれ、一つを私に手渡してくれた。サンタクロースが浮かんだホットショコラ。手が温かさに包まれた。
「せっかくだから、写真撮ろう! 二つ一緒に並べてさ」
「うん!」
トナカイとサンタクロースが二人並んで、仲良く笑っている。私もスマホを取り出して写真を撮った。梓は、「ついでに」と言いながら、私にスマホを向けてきて撮ってくれた。
「これ、クリスマスまでの待ち受けにしようかな!」
「ダメダメ、いま気を抜いてたから変な顔しているでしょ?」
「それがまたいいじゃん!」
梓は笑うと、温かいココアを飲み始めた。
クリスマスムードに包まれて、周りの人たちは幸せそうなムードに包まれている。きっと私たちも例外では無いのだろう。
スマホをしまうと、また梓と手を繋いだ。温かい梓の手のぬくもりを感じながら飲むホットショコラは身体中に幸せを満たしてくれるようだった。
「ホットショコラって幸せな気持ちになるね。好きだよ」
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