シンフォニー

 師走は時が経つのが早く感じる。気が付くとお昼になっていたようだった。友達はみんな学食へ行っているようだったので、私も一人で行くことにした。


 学食に行くと、見たことがないメニューを持ってる生徒がいた。ピンク色のタルタルソースがたっぷりとかかったカニクリームコロッケが目に飛び込んできたのだ。その鮮やかなピンク色は、まるで春の桜の花びらのようで、チラッと見ただけでも目を引く。そばを通りかかると、ほのかに漂う香りが私を包み込む。バターの香りが溶け込んだような、甘くてほっとする匂いだ。思わずヨダレが出そうになった。



 そんなメニューがあるのかと、ディスプレイされているメニューを見ると、そのカニクリームコロッケは新メニューポジションに飾られていた。クリームがとろりと溢れ出るコロッケと、その上にかけられたピンク色のタルタルソースが絶妙なバランスで、まるでアートのようだった。一瞬で私の心を奪っていった。


「初めてのものには弱いんだよね……」


 そう呟きながら、私はこのカニクリームコロッケを頼むことに決めた。思い起こせば、以前にもこんな冒険をしたことがあった。

 学食で見つけた紫色のジャガイモサラダ。見た目が奇抜だったけれど、食べてみるとホクホクとした食感が美味しかった記憶が蘇る。


 注文した定食を持って席に着くと、目の前のカニクリームコロッケから漂う香りが一層強くなった。食欲をそそる香り。私はその匂いに誘われるまま、一口食べてみることにした。


 フォークをコロッケに入れると、クリームがとろりと流れ出し、その上にかかったピンク色のタルタルソースが美しく絡む。その一口を口に運ぶと、驚くほど美味しかった。ピンク色のタルタルソースは、酸味と甘味が絶妙なバランスで、ほんのりとしたフルーツの香りが広がる。まるで果実をかじった時のような爽やかさがあり、クリーミーなカニクリームコロッケとの相性は抜群だ。


 その瞬間、私はこの料理がまるでシンフォニーを奏でているかのようだと感じた。異なる味わいが絶妙に調和し、一つの美しいハーモニーを生み出しているようだった。口の中で広がる豊かな味わいが、私の心を満たしてくれた。


「私、このシンフォニー好き」


 思わず漏れる言葉。

 新しい味に挑戦することで、こんなにも素晴らしい発見があるなんて。これからも色々な味に挑戦して、新しいシンフォニーを楽しみたい。


 学食での新メニュー。その一皿は毎回冒険みたい。私に新たな世界を見せてくれるのだ。これからも食のシンフォニーを楽しみながら、新しい発見を続けていきたいな。シンフォニー、好き。

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