トイレの鏡

 年末が近づくと、学校では大掃除の季節がやってくる。今日はその初日で、クラス全員が各担当の場所に分かれて掃除を始めた。私はトイレ掃除の担当になってしまった。正直、落ち込んでしまったけれど、仲良しの香織も一緒の担当だったから少しは安心した。


「よし、頑張ろう」と香織が笑顔で言ってくれる。その言葉に少し元気が出て、私も「うん、やろうね」と答えた。二人で手袋をはめて、掃除用具を手に取り、トイレに向かう。


 ◇


 普段使っているトイレだけれど、やはり掃除となると少し抵抗がある。特に便器の中を掃除するのは、大変で少し気が引ける。けれど、香織と一緒ならなんとかなるかもしれないと思い、頑張ることにした。


「便器の中もしっかりと掃除しなきゃね」


 香織が気合いを入れる。二人でブラシを手に取り、力を合わせて便器をきれいにしていった。掃除を進めるうちに、少しずつ抵抗感が薄れてきて、無心に手を動かすことができた。


 なんとか便器の掃除が終わり、次は流し周りを掃除することにした。水垢や汚れがたまっているので、ここも丁寧に掃除をする。普段はあまり気にしていなかったけれど、実際に掃除をしてみると、意外と汚れていることに気づいた。


 ふと、鏡が目に入った。鏡はいつも曇っていて、汚れが気になっていた場所だ。私は「香織、鏡も掃除しようよ」と提案し、二人で鏡の掃除を始めた。鏡用のクリーナーをスプレーし、雑巾で丁寧に拭いていく。


 鏡がどんどんきれいになっていく様子を見て、なんだか楽しい気持ちになった。曇っていた鏡が透明になり、私たちの姿が映り込んでいく。


「わあ、すごくきれいになったね」


 香織が嬉しそうに言ったので、私も頷いた。


 鏡が完全にきれいになった時、そこには私と香織が笑っている姿があった。その光景を見て、私は心から鏡って素敵だなぁと感じた。毎日使っている場所だからこそ、綺麗にすることの大切さを改めて実感した。


 鏡越しに笑う香織を見ながら言う。


「鏡って、本当にいいね」

「うん、きれいな鏡を見ると気持ちがいいよね」


 鏡越しに同意してくれた。鏡に映る私たちの笑顔が、今日一日を締めくくる素晴らしい瞬間となった。


 年末の大掃除で大変だったけれど、トイレが綺麗になったことで、すごく晴れやかな気持ちになった。掃除をすると、心も少しずつ浄化されるような気がした。


 これからも、トイレの鏡を見るたびに今日のことを思い出し、また心を綺麗に保ちたいなと思った。そんな風に感じながら、私たちは満足感とともにトイレを後にした。


 トイレの鏡って綺麗だといいよね! 私好き!

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